ウニの噛む力
ウニは大食漢である。ウニの主食は藻類や海藻であるが、あまりにも食べるので、ウニの多い海域では海藻がなかなか育たず問題になることも多い。
ウニは岩の上についている藻類を、前述の「アリストテレスの提灯」に含まれる硬い歯で噛みちぎる。
その噛む力の強さが容易にわかるエピソードがある。水族館などでは、ウニを飼育する際はアクリルの水槽で飼ってはいけない、と言われている。なぜならアクリルは柔らかいため、ウニが水槽の壁面を齧り続けるとどんどんすり減ってしまい、透明度が失われてしまう、というわけだ。そのため、ウニを飼育する水槽は硬いガラス製のものを用いなければならない。
ウニの、黒いトゲだらけのよくわからない体には恐るべきパワーが秘められているのである。寿司屋でウニを注文する際は、そんなことも考えてみると目の前のウニがよりおいしくなるのではないだろうか。
(サカナトライター:宇佐見ふみしげ)
参考文献:荒俣宏『世界大博物図鑑 別巻2 水生無脊椎動物』平凡社
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