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ミゾレチョウチョウウオ Chaetodon kleinii Bloch, 1790

ミゾレチョウチョウウオの幼魚(撮影:椎名まさと)

ミゾレチョウチョウウオは関東の磯では残念ながら少ないチョウチョウウオですが、それでも関東近辺で毎年のように採集されています。従来は千葉県外房以南で採集されていましたが、2023年には北海道の臼尻からも採集されました。

飼育は(チョウチョウウオ科としては)容易とされますが、結構気が強いとのことで、混泳には気を使う種のようです。自然下ではサンゴのポリプのほか、微小な動物や藻類、動物プランクトンなどを積極的に摂餌しています。

なお、ハワイ諸島にすむものは日本や西太平洋のものと若干ことなった色彩を持っており、研究がすすめば日本のものとは別種になるかもしれません。またインド洋のものは体側の色が濃い傾向があります。

英語名は「Blacklip butterflyfish」といい、吻(口)の先端が暗色であることにちなみます。濃い紫の口紅をつけたようにも見え、可愛いのですが、先述のように性格はきついので注意が必要です。幼魚・成魚で色彩や斑紋の変化はほとんどなく、目玉模様は幼魚・成魚ともにありません。

アケボノチョウチョウウオ Chaetodon melannotus Bloch and Schneider, 1801

アケボノチョウチョウウオ幼魚。尾柄の黒斑は成魚では小さくなる(撮影:椎名まさと)

アケボノチョウチョウウオは体側に斜めの黒い線が入るチョウチョウウオです。この種も関東沿岸にほぼ毎年現れるチョウチョウウオで、外房からインド~中央太平洋(ハワイ諸島をのぞく)、紅海のサンゴ礁域に広く分布しています。

サンゴのポリプを主に食しますが、飼育下では雑食性をしめし、(比較的)飼育しやすいチョウチョウウオとされています。

スポットテールバタフライフィッシュ。尾柄の斑紋のほか、腹鰭の色彩にも違いが(撮影:椎名まさと)

フィリピンやインドネシア、パラオといった海域にも分布していますが、この海域にはよく似たスポットテールバタフライフィッシュという近似種も知られています。

これは体側後方の黄色域が広く、尾鰭の付け根の尾柄に明瞭な暗色斑を一つもつこと、アケボノチョウチョウウオと異なり腹鰭が白い(アケボノチョウチョウウオの腹鰭は黄色)ことで見分けられます。

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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