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ウミウシに擬態する多毛類が発見される

ベイツ型擬態は魚だけが獲得した擬態ではありません。

7月29日に「Scientific Reports」に掲載された論文「A new genus and species of nudibranch‑mimicking Syllidae(Annelida, Polychaeta)」では名古屋大学やマレーシアサインズ大学などの研究チームが共同で調査したシリス科の新属新種の多毛類が記載され、学名は Cryptochaetosyllis imitatio、標準和名は「ケショウシリス」と命名されました。ベトナムと日本から標本が得られており、国内においては三重県、和歌山県から発見されたようです。

ケショウシリスはウミトサカを宿主とする小型の多毛類で、最大の特徴はその姿にあります。本種は近縁種と比較して大きく発達した触手と独特な色彩の役割は不明であり、宿主であるウミトサカに擬態するには、むしろ目立っている程だったといいます。

しかし、周辺の海域の調査を行ってところ、本種によく似た形態を持つウミウシの仲間が生息していることが判明。ウミウシの仲間はミノと呼ばれる突起の先端に毒を持っており、ケショウシリスは有毒生物であるウミウシに擬態したベイツ型擬態だと判ったのです。

ウミウシに擬態する生物は様々な動物群で知られていましたが、ゴカイ類では本種が初だといいます。ケショウシリスの「ケショウ」は化生に由来し、種小名の imitatio はラテン語で擬態(mimicking)を意味します。

このように有毒な生物に姿を見せることにより身を守る擬態はベイツ型擬態と呼ばれています。人間からすればなんてこともない形質も、もしかしたらベイツ型擬態なのかもしれません。

(サカナト編集部)

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