スズキ目イサキ科に属する海水魚「コショウダイ」は、背面に散らばる黒い斑点模様が印象的な魚です。この記事では、コショウダイの生態や特徴、名前の由来について解説します。
「コショウダイ」ってどんな魚?
コショウダイは、スズキ目イサキ科に分類される海水魚です。
東シナ海や北部オーストラリアなどの沿岸域に幅広く分布しており、日本近海では南日本を中心にみられます。通常、岩礁帯や砂底、藻場などの浅海域に多く生息しています。
コショウダイの成魚は平たい楕円形の体型をしており、銀白色や灰色の体色をしています。体表には濃い色合いの帯模様があり、背面には黒っぽい斑点模様があるのが特徴です。
体長は通常50~60センチ程度ですが、中には70センチを超える大きな個体もみられます。
チャームポイントでもある斑点模様が名前の由来
コショウダイの名前は、この魚にみられる黒い斑点模様に由来しているといわれています。
ポツポツと浮き出したこの斑点が、まるで胡椒(コショウ)の実をばらまいたようにみえることから、そのまま「コショウダイ」と名づけられたのだそう。
また、コショウダイの体表の模様が、昔の小姓(武士の役職のひとつ)が身に着けていた装束の模様に似ているところから「小姓鯛」に由来するという一説もあります。
コショウダイのように、外見的特徴が名前の由来となっている生き物は比較的多いです。名前を聞くと、すぐに見た目のイメージができるのが便利で面白いですね。
食用としてのコショウダイ
体のシルエットや大きさがマダイによく似ているコショウダイは、実は味わいもマダイに似ていて美味しいと評判です。
コショウダイの身は白身で、脂が適度にのっており、淡泊ながら上品な味わいが特徴。刺身や塩焼き、煮つけなどさまざまな調理法で親しまれています。和食はもちろん、ムニエルやカルパッチョなど、洋風の味付けにもよく合う魚です。
ただ、水揚げ後の処理が不十分な場合などは、臭みが目立ってしまい本来の旨味が感じられないこともあるため注意が必要です。
どうしても生臭さが気になるときは、煮つけのタレを濃いめに調整したり、生姜やにんにくなどの香りの強い食材と一緒に煮込んだりして工夫するとよいでしょう。タレの味をしっかりさせることで、魚自体の旨味も引き出されるので、ぜひ試してみてくださいね。
(サカナトライター:糸野旬)