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奄美大島で出会った一匹の<ヒトスジギンポ>との思い出 「デートの待ち合わせ」が愛おしい

ヒトスジギンポという魚を知っていますか?

白い魚体に、名前の通り黒い筋が一本入っている小さな熱帯魚。岩やカイメンなどにあいた穴に生息していて、巣穴から顔を出す姿がとても可愛らしい魚です。

魚が好きなダイバーの間では知名度も高く、それほど珍しい魚ではありません。

今年、奄美大島で出会ったヒトスジギンポとのエピソードは、忘れられない思い出になりました。

ダイビングの目的は<水中写真の特訓>

ヒトスジギンポ(提供:PhotoAC)

ヒトスジギンポとの出会いは2024年2月の終わり、場所は奄美大島でした。2月末の奄美大島の水温は20℃ほどで、ウェットスーツで潜るのにはあまりにも冷たいひんやりとした海でした。

1日目、私は無謀にも自分が持っているウェットスーツで潜り、冷たい海に凍えてしまいました。

なので2日目は、ダイビングショップで完全防水&保温もばっちりなドライスーツを借りて潜りました。お世話になったダイビングショップは、初めて奄美を訪れた私を明るく温かく迎えてくれました。

この時のダイビングの目的は「水中写真の特訓」。いつも通り、水中での相棒であるカメラ<Olympus TG4>を持って、海に潜ります。

奄美の海は「青」が濃かったという記憶が、今でも鮮明に残っています。

素敵な瞬間との出会い

潜り始めてしばらくすると、ガイドさんが水中スレート(お絵かき板)を見せてくれました。水中では声が使えないため、文字でコミュニケーションをとるのです。

デートの待ち合わせーー

ガイドさんが書いてくれたダイビングログ(撮影:百葉)

指さす方を見ると、珊瑚の上で1匹のヒトスジギンポが宙を眺めていました。

その瞳はキラキラとしていて、それでいて、どこか切なげで美しかったのです。

周りには他のサカナもたくさんいて騒がしい海の中で、静かにじっと何かを待っている姿が尊く、思わずカメラを手にとりました。

じっと待っているかと思えば、ちょろちょろっとそわそわした様子で少し泳ぎ、またじっと待つ。せわしない様子が、ただ愛おしかったのです。

その姿を見つけて、一瞬で「デートの待ち合わせ」と表現したガイドさんの感性も、とても素敵だなと思いました。

同じ魚でも環境や状況の違いで<特別な思い出>に

ヒトスジギンポ(撮影:百葉)

2024年は他の海にも潜り、他のヒトスジギンポも見ました。ただ、私はこの奄美大島で出会ったヒトスジギンポとの思い出が記憶に色濃く残っているのです。

同じサカナでも、見る人やその時の感性、海の状況、魚の状況によって、全く違う表情を見ることができます。

これから先、何度水族館に行っても海に潜っても、感じることが違うと思うとわくわくでいっぱいです。

これからもたくさんのサカナとの思い出を大切にしていきたいなと思います。

(サカナトライター:百葉)

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百葉

百葉

おさかなダイバー

海・おさかなの魅力を愛を込めて発信します。26歳会社員。ダイビング歴8年、経験本数300本、レスキューダイバー。文章、水中写真、デッサン、あらゆる手段で海を記録しながら暮らしてます。

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