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和食・日本料理に絶対必要な<昆布> 秘められた可能性と未来の課題とは?

昆布はそのままの形を残して食卓に出ることは少ない脇役ですが、日本人の食生活、特に和食にとっては欠かせないものです。

出汁として使われますし、使った後の昆布は取り出して刻んで佃煮にもできます。

昆布はとても優秀な食材なのです。

昆布からは旨味のもとグルタミン酸がとれる

昆布巻き(提供:PhotoAC)

昆布出汁にはグルタミン酸が豊富で、旨味を引き出す力があります。鰹節からとれるイノシン酸と組み合わさることで旨味が数倍になるともいわれています。

昆布料理と言えば、おせちで有名な昆布巻きやおでんの具にも入ってますね。

実は、昆布とひとことに言っても、いくつかの種類があるのです。

真昆布、利尻昆布、羅臼昆布などは高級食材として料亭などで使われます。日高昆布やがごめ昆布は煮物や健康食品に向いています。

それぞれの特徴を理解して、料理や用途に合った昆布を選ぶことが大切です。

健康面からみても優秀な昆布

干し昆布(提供:PhotoAC)

昆布は「健康」「栄養」の観点からも優秀な食品です。

昆布はミネラル(ヨウ素やカルシウム)が豊富なことが有名ですが、それ以外に食物繊維も含まれています。珍しいところではビタミン類(ビタミンKなど)、アルギン酸です。

ヨウ素は甲状腺ホルモンの生成を助け、甲状腺機能をサポートします。

また、昆布のアルギン酸には様々な効能があるといわれていますが、腸内の不要物質や高血圧の原因となるナトリウム排出を促進する効果が注目されています。

昆布を日常の食生活に取り入れることで、生活習慣病予防や美容効果が期待されているわけです。

環境保全の可能性から見ても優秀な昆布

昆布の天日干し(提供:PhotoAC)

昆布などの海藻は成長過程で二酸化炭素や栄養塩を吸収し、海水を浄化する役割も果たします。

これにより、海洋環境の保全や気候変動対策としても注目されているのです。

しかし、近年の気候変動による海水温度の上昇は昆布の生育に脅威となっています。北日本や北海道の昆布生産地では、特にその傾向が顕著です。

昆布の生育に適した水温のエリアが北に移動しており、これにより昆布の生息域が狭まっているのです。

生産者の意欲も下がってしまう

昆布の生息域が狭まっていくと、今度は生産者や卸業者の方にも影響が出てきてしまうのです。

高齢化や後継者不足などの問題もありますが、生産量の低下に加え、輸入昆布が台頭してきたことで、国内の生産者たちの意欲が下がってしまう環境になってしまっています。

昆布が育つ深い海での美しい写真を撮って発信したい

これは筆者の願いですが、昆布が育つ深い海での美しい写真を撮りたいと考えています。息子もダイビングができる年齢になったため、一緒に水中写真に挑戦するのが来年の目標です。

そもそも昆布生息地域までいけるかという問題がありますが、美しい海の写真を撮って発信することで、「この海をみんなで守ろう」というメッセージを広く届けていきたいです。

(サカナトライター:栗秋美穂)

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栗秋美穂

栗秋美穂

多様な学びと生き方を発信するライター

ウミガメの保護活動や、鮭の稚魚を育てて放流する活動をしています。読者の皆様にも、このような経験を通じて、少しでも海の生き物が生きやすい国になればと思います。

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