白黒の模様と小さな体を持つ、イロワケイルカを知っていますか?
世界最小クラスのイルカともいわれており、小さな体で活発な泳ぎを見せてくれます。知れば会いに行きたくなる、イロワケイルカの生態や魅力をご紹介します。
最小クラスのイルカ 小さな体には魅力がいっぱい
イロワケイルカは体長が1.5メートルほど、体重が65キロ前後の小さなイルカです。
バンドイルカの大人の体長が3メートル前後、体重が200キロであることに比べると、世界最小クラスといわれるのも納得ですね。

海のパンダ? 特徴的な白黒の柄
イロワケイルカの最大の特徴は、くっきりと分かれた白と黒の模様です。その模様から、別名「パンダイルカ」とも呼ばれることもあります。
白黒の柄は、水面から見れば背中の黒がカモフラージュになり、逆に海中から水面を見上げると、白いお腹が光に溶け込んで目立ちません。
特徴的な模様は身を守るためのカモフラージュとして役に立っているんですね。
お腹にも注目オスとメスの見分け方
下腹部にある黒くて丸い模様も、イロワケイルカの大きな特徴のひとつです。
色が濃くハート形に近いのがオス、色がやや薄く小さいのがメス、というように見分けることができます。生まれたばかりの赤ちゃんの識別にも役立っているそうです。
もうひとつ注目したいのが、ノコギリのようなギザギザとしたフチがある胸ビレ。
イロワケイルカたちは、この突起を仲間に擦り付けて泳ぐことで、仲間同士でのコミュニケーションをとっています。水族館で観察するときは、観察してみてはいかがでしょうか。
好奇心旺盛で活発イロワケイルカの暮らし
イロワケイルカが暮らしているのは、南アメリカ大陸沿岸やケルゲレン諸島周辺です。
水温の低い海で小さな群れを作り、イカや小型の魚類を中心に食べて生活しています。
さまざまなものに興味をもち、好奇心旺盛な性格です。水族館では、おもちゃを使って遊ぶ姿もみられるかもしれません。
日本で見ることができるのは2箇所の水族館だけ

イロワケイルカが来日したのは1987年のことです。当初は17頭が飼育されていましたが、2025年には6頭まで減少しています。
ワシントン条約で希少種に位置付けられたため、新たなイロワケイルカたちを国外から輸入するのは不可能。現在は国内の水族館が協力して、彼らの繁殖の研究を続けています。
命を後世に繋いでいく鳥羽水族館の取り組み
2023年6月、鳥羽水族館(三重県鳥羽市)で待望の赤ちゃんが誕生しました。
同館でのイロワケイルカの出産は今回が20回目。繁殖に力をいれ、彼らの子孫を後世に繋いでいこうと取り組みを進めています。
新しく生まれた赤ちゃんイルカは「コスモ」と名付けられました。
筆者は2025年3月に同館を訪れましたが、母親と元気よくプールで泳ぐ姿を見られました。
出産後も育児放棄や病気、事故など、様々な困難があるイロワケイルカの飼育。研究がもっと進むことで、長く元気な姿を見せてくれることを願っています。
新しい命の芽生え、嬉しいニュースも
今年5月、仙台うみの杜水族館(宮城県仙台市)から、同館で飼育する「セーラ」が妊娠しているという嬉しいニュースがありました。
12年ぶりの妊娠で、お父さんは、2022年に鳥羽水族館からやってきた「ライト」です。
イロワケイルカの妊娠期間は12ヶ月ほどと言われており、出産予定は2026年の5月頃になりそう。無事に出産して、嬉しいお知らせが聞けると良いですね。
小さな体と可愛い柄が特徴のイロワケイルカ。日本国内でみられるのは、「鳥羽水族館」と「仙台うみの杜水族館」のみです。
イロワケイルカたちが生き生きと泳ぐ姿を、ぜひ見に行ってみてください。
(サカナトライター:秋津)