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1500年前の地層から新種の<イシサンゴ化石>見つかる! 発見された海岸の名前に因んで命名【島根県大田市】

イシサンゴ目は刺胞動物門花虫亜門六放サンゴ綱に分類される動物で、現生種が1698種知られています。

一方、無藻性イシサンゴ化石の研究はほとんど進んでおらず、日本から報告されている無藻性イシサンゴの化石はわずか6種にすぎません。そうした中、公立鳥取環境大学環境学部・徳田悠希准教授らの研究チームは島根県大田市からイシサンゴ化石を多数発見し、1種を新種として記載しました。

この研究成果は『Paleontological Research』に掲載されています(論文タイトル:Azooxanthellate colonial corals from the Miocene Omori Formation, Shimane, Japan)。

無藻性イシサンゴ化石の研究

イシサンゴ目は刺胞動物門花虫亜門六放サンゴ綱に分類される動物であり、現生する種は1698種が知られています。

イシサンゴ類は体内に褐虫藻を共生させる<有藻性サンゴ>と、褐虫藻を共生させない<無藻性サンゴ>に大別され、現生種のおよそ半分が無藻性サンゴです。無藻性サンゴの多くは深海に生息し、特に無藻性の群体イシサンゴは深海の多様性が豊かな冷水性サンゴ礁を形成する上で重要とされています。

イシサンゴ目のサンゴ(提供:PhotoAC)

しかし、無藻性イシサンゴ化石についての研究はほとんど進んでいません。実際、日本でも無藻性イシサンゴの化石が産出しているものの、新生代の中新世の地層から6種が記載されているのみです。

イシサンゴ化石を多数発見

そうした中、公立鳥取環境大学環境学部の徳田悠希准教授は、同学部の卒業生である山田直人氏と遠藤寛海氏、琉球大学理学部の千徳明日香准教授らとの共同研究で、島根県大田市の猛鬼(もうき)海岸の約1500年前の地層から多数のイシサンゴ化石を発見しました。

キサンゴ属のサンゴ(提供:PhotoAC)

猛鬼海岸に分布する中新統大森層から産出した無藻性イシサンゴ化石を、CTにより破壊することなく詳細に解析。解析の結果をもとに Petrophyllia niimiensisDendrophyllia okamotoi、とキサンゴ属 Dendrophyllia の新種である Dendrophyllia mokiensis の3種が記載されました。

発見場所に因んで命名

Dendrophyllia mokiensis の種小名である“mokiensis”は本種が発見された猛鬼海岸に因んでおり、和名も同じ理由でモウキサンゴと命名。また、キサンゴ属のサンゴでは様々な群体形が見られますが、モウキサンゴは仮軸状に分枝する群体を形成する最古のキサンゴ属サンゴであることも判明しました。

様々な群体形がみられるキサンゴ属において、この研究結果は進化の過程を考える上で重要だといいます。

初報告の無藻性イシサンゴ群集

今回の研究ではキサンゴ属に加えPetrophyllia属のサンゴも多数発見されており、両者が同一層準から多産することも判明しています。

キサンゴ属とPetrophyllia属の両方が優占する無藻性イシサンゴ群集が報告されるのは初めての例であり、Petrophyllia属が優占する無藻性群体イシサンゴ群集が、新生代でも他のイシサンゴと共存し広く存在していたことが示唆されたのです。

また、現在の海におけるPetrophyllia属サンゴはオーストラリアから1種のみが知られているだけで、冷水性サンゴ礁の形成に寄与していません。今回の研究成果はPetrophyllia属が衰退した原因や冷水性サンゴ礁を構成する無藻性群体イシサンゴの変遷を理解する上で重要だといいます。

(サカナト編集部)

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