寒くて荒い海──。
“北海道の海”というと、どこか灰色がかった深い青やグレーのイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
しかし、北海道にも驚くほど澄んだコバルトブルーの海が出現する場所もあるのです。
そもそも海の色が青いのはなぜか
海が青く見える理由には光の性質が関係しています。
太陽の光は水中に入ると、波長によって吸収されやすさが異なります。赤や黄色の光は浅い水深で吸収され、青い光は比較的深くまで届きやすいため、透明度の高い海では青い光だけが反射されて私たちの目に届くため青く見えるのです。
栄養が少なく透明度の高い沖縄の海(提供:PhotoAC)一口に「海」といっても、その色は常に同じではありません。時期や場所、時間、天候、水質など海のコンディションによって変化します。
例えば、曇りの日には、暗い空の色を反射し灰色がかった色に見えることもあります。
つまり、同じ海でも水質や光の条件が違えば、全く異なる表情を見せてくれるというわけです。
北海道で<青い海>が見られるスポット
透き通るようなビーチリゾート──と聞いて思い浮かぶような青い海が見られる理由は、水の透明度の高さなどが関係しているといわれています。晴天時には太陽の光が水中深くまで届き、美しい青色を反射します。
そんな青い海のイメージは、暑い地域のリゾート地という印象が強いと思います。しかし、冬には厳しい寒さが訪れる北海道にも、まるで沖縄の海を思わせる<青い海>が見られる場所がいくつか存在するのです。
独特の青さ“積丹ブルー”
特に有名なのは、積丹半島にある「神威岬」や「島武意海岸」です。
晴れた日の海は驚くほど透き通っており、その独特の青さは“積丹ブルー”とも呼ばれます。
神威岬の海(提供:PhotoAC)他にも、礼文島や利尻島など、道北の離島にも透明度の高い海があります。
近年ではSNSでも注目されるようになり、夏の観光シーズンには青い海を目指して多くの人が訪れるスポットとしても有名です。
季節や天候による“海の色”の変化を楽しもう
海の色は、晴天や曇天、風の有無といった天候条件によっても、印象が大きく変わります。
同じ積丹ブルーでも、曇りの日にはややくすんだ色合いに見えたり、夕暮れ時にはオレンジ色の光が差し込んで幻想的な雰囲気を醸し出したりするのです。
また、季節によっても、水温や海流の影響で海の透明度や色合いの変化を感じ取ることができます。
例えば、冬の海は冷たくより深い青に見えることが多い一方で、夏場はより明るく、光の反射によって鮮やかなブルーが際立つ傾向があるようです。
季節や時間帯により違う表情になる海
北海道の海といえば「厳しく冷たい」といったイメージを持たれがちですが、実は豊かな表情を見せてくれる存在でもあります。天候や時間帯、訪れる場所によってさまざまな表情を楽しめる北海道の海は、観光だけでなく日常の中でも発見の連続です。
一度は北海道に行ったことのある人も、季節を変えて再度訪れてみてはいかがでしょうか?
(サカナトライター:せんば千波)