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ドローン活用で<ザトウクジラのブロー(噴気)>の回収成功 39種のウイルスを検出

大型鯨類は海洋生態系における重要な要素です。

その一方で、大型鯨類は立ち入ることが難しい海域に暮らすことから、調査が困難である場合も少なくありません。特に大型鯨類に関するサンプリングは難易度が高いとされています。

そうした中で、東京大学の関根渉氏らから成る研究グループは、画期的方法でザトウクジラのブロー(噴気)を採取することに成功しました。

採材が難しい大型鯨類

ザトウクジラやシロナガスクジラなどの大型鯨類は海洋の生態系における重要な存在です。

しかし、人間が大型鯨類へアクセスすることは困難であり、特に採材の難易度が非常に高いといいます。これらのことから大型鯨類の生態調査は難航していました。

ドローンによりブローを採取

こうした中で、東京大学の関根渉氏らから成る研究グループは画期的な方法でザトウクジラのブローを採取することに取り組み、成功させました。

ザトウクジラのブロー(提供:PhotoAC)

ブローはザトウクジラをはじめとする鯨類が水面で行う呼吸(息継ぎ)で、種や大きさにもよるものの、ブローの高さは3メートル前後にも及びます。このブローは広い海でクジラを見つける目印にもなるのです。

今回の研究で対象となったのは八丈島のザトウクジラ。ブローの回収にはドローンが用いられました。

ブローから39種のウイルスを検出

ドローンにより採取されたザトウクジラのブローはその後、Virome解析を実施。Viromeとはウイルス叢(そう)のことで、この解析によりブローにどのようなウイルスが含まれているのか明らかにしようということです。

解析の結果、ブローの中から18科39種のウイルス遺伝子が検出されました。また、これら39種のウイルスに関する塩基配列のうち、9種が哺乳類感染性ウイルスであることもわかっています。

加えて、シロイルカ由来のヘルペスウイルスがザトウクジラのブローから初めて検出。このヘルペスウイルスはブローにより他の個体へと感染する可能性が考えられています。

今後の研究での活用が期待

今回の研究ではドローンによりザトウクジラのブロー採取に成功しました。また、ウイルス叢の解析では39種ものウイルスが検出され、新規のヘルペスウイルスも発見されています。

今後、大型鯨類の採取においてこのドローンによる採取方法が活用されていくことが期待されるでしょう。

今回の成果は「Viruses」に掲載されています(論文タイトル:First Detection of an Alphaherpesvirus Gene in Humpback Whale Blow Samples Collected Noninvasively Using Unmanned Aerial Vehicles)。

(サカナト編集部)

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