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成長すると消える<ハマクマノミ>の模様 成魚が稚魚に影響を与えていることが明らかに

ハマクマノミの稚魚は白い横帯を2~3本もっていることが特徴です。

この白色横帯は、成長に伴い頭部以外の横帯が消失することが知られており、横帯が消失するタイミングは周囲の環境や社会的な要因に左右されるとされています。

今回、沖縄科学技術大学院大学の研究チームが行った研究ではこの白色横帯の消失に着目し、この変化をもたらす要因やメカニズムを明らかにしました。

この研究成果は「PLOS Biology」に掲載されています(論文タイトル:Iridophore apoptosis mediates socially-regulated developmental color pattern plasticity in an anemonefish)。

魚の社会階層

広い海の中で暮らす魚たちの中にも社会階層が存在します。

例えばクマノミ類では通常、特定の宿主であるイソギンチャクに1組のペアしか生息できません。そのため、稚魚は社会構造の中で従属的な役割を担っています。

また、クマノミ類の稚魚は体長や色彩パターンなど、視覚的な情報で従属性を示すことが知られています。

ハマクマノミの白色横帯

ハマクマノミ Amphiprion frenatus はスズメダイ科クマノミ属に分類される小型魚です。

本種の稚魚は、体に白色横帯が2~3本あることが特徴ですが、成長に伴って頭部以外の白色横帯が消失することが知られています。

ハマクマノミ(提供:PhotoAC)

今回、研究チームはこの変化について調査を実施。変化をもたらす要因と、細胞メカニズムを明らかにしました。

水槽にカメラを設置して記録

研究チームは、さまざまな環境下のハマクマノミ稚魚を観察するために、水槽にカメラを設置し撮影を行いました。

観察では、宿主のイソギンチャクに成魚のペアがいる環境、偽物のイソギンチャクがいる環境、イソギンチャクが存在しない環境が含まれています。

成魚の存在が白色横帯に及ぼす影響

観察の結果、成魚の存在が稚魚の白色横帯の消失を速めていることが明らかになりました。

これについて研究チームは、白色横帯の消失スピードの差が、ハマクマノミの持つ複雑な社会階層に起因していると考えています。

孵化したばかりのクマノミ類仔魚は、発育初期に短期間外洋に出た後、稚魚へと成長。最終的に宿主となるイソギンチャクを見つける必要があります。

ただし、発見したイソギンチャクが既に別の成魚が占拠していた場合、稚魚は成魚に対して自らが脅威的な存在でないことを示す傾向があるようです。

ハマクマノミ(提供:PhotoAC)

そして、稚魚たちもずっと社会階層の最下位にいる訳ではないといいます。

研究チームは、稚魚が社会階層の中で成魚に受け入れられた後、次に稚魚がやってくる時に、自身の地位を確立するため、白色横帯を1本失う可能性があることを示唆しました。

一方、空いているイソギンチャクにいる若魚は、通りすがりの成魚に威圧的な印象を与えないように、長く2本の白色横帯を保っている可能性があるとしています。

細胞レベルのプロセス

細胞レベルのプロセスについても、研究チームによって調べられています。

白色横帯の白い部分を形作る虹色細胞に着目し、顕微鏡下で細胞構造の観察がおこなわれました。

その結果、細胞の集団死が起こっていることが判明。ハマクマノミの白色横帯が消失する際、 caspase-3という細胞死に関与することが知られている遺伝子が強く発現していることも明らかになっています。

また、成魚の有無によって甲状腺ホルモンの生産に関連した遺伝子発現が変化しており、社会的認識と白色横帯の消失に、ホルモンを介した関連があることが示唆されたのです。

生物の進化を理解する重要知見に

今回の研究によって、ハマクマノミ稚魚の白色横帯が消える現象が、年長の魚の有無によって促進され、どのように変化するのかが示されました。

本研究は生き物がどのようにして、成長の過程で柔軟に変化できるよう進化してきたのかを理解する上で重要な知見です。

さらに、研究チームは発達上の柔軟性がどのようにして進化してきたのか調べることで、生物多様性の起源に対する新たな理解が得られるとしています。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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