タカラガイという貝がいます。
名前だけ聞いてもピンとこない人が多いかもしれませんが、実はとても美しい貝です。
タカラガイは綺麗な模様や光沢の美しさから、世界中でコレクションされています。
世界に200種類がいる<タカラガイ>
タカラガイはタカラガイ科に分類される貝の総称です。
タカラガイの仲間は浅い海から深海まで広く分布しており、日本では主に房総以南で見つかります。タカラガイの仲間は世界で約200種類いるとされ、日本には約100種類いるそうです。
岩礁に生息するタカラガイの仲間(提供:PhotoAC)タカラガイは巻貝の一種ですが、普段は外套膜に覆われているため、まるでエイリアンのように見えるかもしれません。
外套膜とはホタテガイの貝ひもの部分やイカの胴体に当たる部位で、貝殻を作ったり守ったりする役割をする組織です。
タカラガイの用途
光沢のある貝殻に、まるで絵画のような模様が刻まれているタカラガイ。
その美しさから、かつては装飾品に利用されたり、お金として使われたりしていました。また、権力者に繁栄や富の象徴としても重宝されたそうです。
装飾品としては、首飾りやお面などによく使われています。貝のお金を「貝貨(ばいか)」と呼びますが、貝貨には数えやすさや美しさ、堅牢性、希少性、非偽造性が必要なため、主に巻貝が利用されます。
このうち、タカラガイの貝貨としては、キイロダカラ(学名:Monetaria moneta)やハナビラダカラ(学名:Monetaria annulus)などが中国やタイ、アフリカの国などで使われていたそうです。なお現代でも、パプアニューギニアの一部などでお金として使われる地域もあります。
ハナビラダカラ(提供:PhotoAC)これらのタカラガイは沖縄やモルディブ産のものが多かったそうなので、日本人としては少し嬉しいです。
タカラガイは安産のお守りにも
日本では口の形状が女性器に似ていることから“生命のシンボル”とされ、日本では古くから安産のお守りとされてきました。
日本では、特に大型で希少なハチジョウダカラ(学名:Mauritia mauritiana)を「子安貝(こやすがい)」と呼び、出産時に握るとお産が軽くなると信じられていたそうです。
ハチジョウタカラガイ(撮影:額田善之/撮影場所:渋川マリン水族館)この安産信仰については、現存する日本最古の物語とされる『竹取物語』に登場する「燕の子安貝」という言葉からも裏付けられます。
かぐや姫が、求婚する男性へ無理難題として「燕の子安貝」を持ってくるように伝えたという一説です。しかし、燕の巣や体内からは子安貝は見つからず、この男性は大けがをしてこの世を去りました。
そのため、一生懸命頑張っても意味がないという例えとして、「甲斐(貝)がない」という言葉が生まれたと言われています。
日本でも世界でも名宝とされるタカラガイ
タカラガイの中でも、特に貴重で名宝とされるものがあります。
日本三名宝(撮影:額田善之/撮影場所:渋川マリン水族館)その美しさと希少性から日本三名宝とされるものは、テラマチダカラ(学名:Nesiocypraea teramachii)、ニッポンダカラ(学名:Nesiocypraea langfordi)、オトメダカラ(学名:Nesiocypraea hirasei)です。
シンセイダカラ(撮影:額田善之/撮影場所:渋川マリン水族館)また、世界三名宝とされるものは、シンセイダカラ(学名:Leporicypraea valentia)、オオサマダカラ(学名:Callistocypraea leucodon)、サラサダカラ(学名:Lyncina broderipii)です。
これらの貝は、その模様や光沢の美しさで人を惹き付けてやみません。
タカラガイはどこで見られる?
タカラガイは美しい貝殻を持つため、世界中で収集されています。綺麗なものは高価で取引されますが、小さいものであればネット通販でもお手頃価格で購入可能です。
水族館でもまれに生体を展示している場合もあるようですが、タイミングに左右されます。しかし、貝殻であれば博物館や水族館でも展示されているところがあります。
牛窓海水浴場で見つけたタカラガイ(撮影:額田善之)また、貝殻は海岸で見つけることも可能です。先日、筆者は海水浴場で、運よく1つ見つけることができました。貝の内側が黒色であることや模様の様子から、恐らくクロダカラだと思われますが、確定ではありません。
外洋に面する太平洋沿岸などであれば、もっとたくさん打ち上げられている可能性があるので、探してみるのも楽しいでしょう。見つけることができたらとても嬉しいので、興味がある人はぜひ探してみてくださいね。
(サカナトライター:額田善之)