サカナをもっと好きになる

キーワードから探す

ニュース

5000年以上前の遺跡から出土したワニの化石を同定! 東アジアにおける生息域の解明に期待

北海道大学大学院理学院博士後期課程の田中望羽氏らの研究グループは、骨中コラーゲンの質量分析による動物骨同定の手法を用いて、形態から同定が難しいワニ類の骨を特定することに成功しました。

この研究成果は考古学の専門誌「Journal of Archaeological Science: Reports」に掲載されています(論文タイトル:Identification of East Asian Crocodylian Collagen from the Tianluoshan Archaeological Site of China)。

ワニ化石は頭骨以外からの同定が困難

ワニ類は半水生の動物で、熱帯~亜熱帯に30種もの現生種が知られています。

中国においては浙江省長江下流の田螺山遺跡(約7000~5500年前)などからワニ類の骨が出土しますが、ワニ類は頭部を除き形態的特徴に乏しいことから、断片的な骨での種同定は困難でした。

ヨウスコウワニ(提供:PhotoAC)

現在、田螺山遺跡周辺の長江下流域にワニ類は生息していないものの、約7000〜5500年前は現在よりも温暖な環境だったようです。

そのため、この地域にはヨウスコウワニ、イリエワニ、絶滅種のHanyusuchus sinensis が分布していた可能性があると考えられています。

ワニ類3種の識別基準を作成

そうした中で、研究グループは骨中コラーゲンを質量分析することにより、東アジアに現生するワニ類3種(ヨウスコウワニ、イリエワニ、マレーガビアル)の識別基準を作成。この基準を用いて、田螺山遺跡から出土したワニ化石の種同定を試みました。

現生骨標本の分析の結果、ヨウスコウワニイリエワニマレーガビアルの各種に特異なバイオマーカーが確認されています。

田螺山から出土したワニ化石の正体

中でも、ヨウスコウワニで最も多くのバイオマーカーが確認され、バイオマーカーから3種の現生ワニ類の識別が可能であることを示したのです。

田螺山遺跡から出土したワニ化石8点を分析した結果、ヨウスコウワニのバイオマーカーと一致。これにより、約 7000〜5500年前の田螺山遺跡の長江下流域がヨウスコウワニに利用されていたことが明らかになったのです。

東アジアにおけるワニ類の生息域を明らかに

今回の研究によって、ワニ類において骨中コラーゲンの質量分析によって種同定ができること、田螺山遺跡の長江下流域がかつてヨウスコウワニに利用されていたことが明らかになりました。

今後、研究で明らかになった識別基準を出土したワニ類化石に適応することで、東アジアにおけるワニ類の生息域と古代中国の文化的利用が解明されることが期待されています。

(サカナト編集部)

  • この記事の執筆者
  • 執筆者の新着記事
サカナト編集部

サカナト編集部

サカナに特化したメディア

サカナに特化したメディア『サカナト』。本とWebで同時創刊。魚をはじめとした水生生物の多様な魅力を発信していきます。

  1. 5000年以上前の遺跡から出土したワニの化石を同定! 東アジアにおける生息域の解明に期待

  2. “海の雑学”の答えを知る? 下田海中水族館で「ウソ?ホント?」企画展を開催【静岡県下田市】

  3. 仙台うみの杜水族館で桜咲く? 約250匹の<サクラダイ>が泳ぐ春の特別企画開催【宮城県仙台市】

関連記事

PAGE TOP