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すり身由来の<魚肉タンパク質>で集中力と計算力が向上? ヒト臨床試験で効果を確認

創業160年を超える老舗かまぼこ製造・販売会社の鈴廣かまぼこ株式会社はこの度、すり身由来の魚肉タンパク質に関するヒト臨床試験で、集中力や計算パフォーマンスを高める可能性があることを示しました。

魚肉練り製品の原料として親しまれてきた“すり身”が、改めて注目されるかもしれません。

【画像】鈴廣かまぼこの里で開催されたイベントの様子

魚肉たんぱくで集中力アップ? ヒト試験で効果示唆

鈴廣かまぼこは、魚のすり身を由来とする魚肉タンパク質の摂取が、集中力および知的作業効率に与える影響を検証する臨床試験を実施し、その結果を3月27日に開催された「日本水産学会春季大会」で発表しました。

魚肉つみれ(提供:PhotoAC)

試験では、魚肉由来のペプチドを摂取した群で、主観的な集中力の向上や疲労感の低減、計算課題の処理量と正答率の有意な改善が確認されたといいます。

背景には、かまぼこやすり身が高い消化性必須アミノ酸スコア(DIAAS)を持つ良質なタンパク源であり、これまでも血圧上昇抑制やアスリートのパフォーマンス向上、抗疲労などの機能性が報告されてきたことがあります。

魚肉ペプチドには抗酸化活性の高いジペプチドが含まれることから、脳疲労の軽減を通じて集中力が高まるのではないかという仮説のもとで、今回の研究が進められました。

若年成人19人で検証

試験には19~29歳(平均24.3歳)の健常な男女19人が参加し、魚肉ペプチドまたは同カロリーのプラセボ(デキストリン)を摂取した後、経時的に主観的指標と知的作業の成績が測定されました。

集中力や疲労感などの主観的な状態はVAS(Visual Analog Scale)で評価し、知的作業効率は内田クレペリン検査用紙を用いた数字の連続加算課題による処理数と正答率で確認。VAS法は、痛みや疲労感、集中力などの主観的な状態を「どの程度か」を数値化するための評価方法です。

一般に、左端を「まったく感じない」、右端を「これ以上ないほど強く感じる」とした10センチ程度の直線を用意し、被験者が現在の状態をその線上に印をつけ、その位置をミリ単位などで測定して数値データとして扱います。

計算課題の処理量・正答率が向上

魚肉ペプチド摂取60分後には、プラセボ摂取時と比べて主観的な集中力が有意に高まり、疲労感が下がる傾向がみられました。

図1.すり身由来魚肉タンパク質摂取による主観的集中力への影響.

また、摂取45分後以降で知的作業量が摂取前より有意に増加し、45分後および105分後には、処理量と正答率のいずれもプラセボより高い値を示したとされています。

図1.すり身由来魚肉タンパク質摂取による知的作業量への影響.

研究チームは、魚肉ペプチドに含まれる抗酸化成分が脳疲労の軽減とパフォーマンスの維持・向上に寄与した可能性を指摘しています。

魚肉タンパク質でQOL向上へ

魚肉ペプチドは、かまぼこの原料と同じ魚のすり身を酵素で分解して作られる素材で、通常のタンパク質よりもアミノ酸を素早く、効率的に体内へ取り込める点が特徴です。

運動後の疲労回復を助ける効果も報告されており、今回の知的作業効率に関する結果とあわせて、受験シーズンの学習サポートやスポーツの試合前など、幅広いシーンでの活用が期待されています。

鈴廣かまぼこによると、かまぼこやちくわなどに使われるすり身は、製造過程で脂質がさらに取り除かれることで、水分以外の成分の約95%がタンパク質という高純度なタンパク源になるといいます。

同社は「お魚たんぱくで世界を健やかに」を掲げ、伝統のかまぼこ製造技術と独自の研究施設を活かしながら、魚肉タンパク質の新たな価値を生かした商品やサービスづくりを進めていく方針です。

今回の臨床試験は、嗜好品としてのかまぼこを超え、集中力や生活の質(QOL)の向上に貢献する食品素材として、すり身の新たな可能性を示すものとなりました。

(サカナト編集部)

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