新鮮な魚介類はもちろん、水炊きやもつ鍋、豚骨ラーメンなど“グルメの街”としても知られる福岡県。
その福岡に「おきゅうと」という郷土料理があります。
なんとも不思議な見た目をしているため、初見であれば「これは一体なんだ……?」と戸惑ってしまうかも。変わった見た目ながら、とても美味しい一品なんですよ。
海藻を溶かして固めてこんにゃく状に
おきゅうとは、エゴノリという海藻を干したものを煮溶かして固めた食べ物です。
半透明で、淡い茶褐色のものや薄緑色をしているものがあります。色合いや見た目はこんにゃくに似ています。
おきゅうと(提供:PhotoAC)福岡では居酒屋でも提供されていますし、スーパーでは鮮魚コーナーに丸められたおきゅうとがパックに入ってよく並んでいます。
おきゅうとの原材料「エゴノリ」
おきゅうとの原材料となるエゴノリは、日本各地の沿岸に自生する紅藻類(海藻)の一種です。
紅藻類(提供:PhotoAC)かつては博多湾や玄界灘でも大量に採れていたのですが、地球温暖化の影響か、1990年代から福岡県内でのエゴノリの不漁が続いており、福岡の郷土料理の原材料でありながら、今は石川産や新潟産、佐渡産など県外のエゴノリを使っているのが現状です。
郷土料理、伝統食の原材料が地元で採れなくなっているという現実は、近年の環境の変化を案じざるを得ません。
おきゅうとの味はところてんに似ている
身近なもので例えるのであれば、おきゅうとの味は「ところてん」に似ていると思います。ところてんの原料も、おきゅうとと同じく紅藻です。
ところてん(提供:PhotoAC)ただ、おきゅうと自体にはそこまで味はなく、タレとともに磯の香りを楽しむといった感じでしょうか。
ごまやかつお節をまぶして、醤油を掛ける食べ方が伝統的なスタイルだと言われていますが、酢醤油やポン酢などお好みでOK。
ちなみに、ところてんよりはモチモチとしていて、そのもっちりとした食感や喉越しも楽しめます。
「おきゅうと」を味わってみよう
福岡の郷土料理として親しまれてきたおきゅうと。しかし、その原材料は地元で採れなくなり、現在は県外産のものが使われています。
さらに、地球温暖化の影響で、その調達も将来にわたって続けられるとは限りません。
おきゅうとに込められた歴史や食文化に思いを巡らせながら、ぜひ福岡の味を楽しんでみてください。
(サカナトライター:妖精社)