背中は丈夫そうな甲羅に覆われ、四つ這いで歩くカメ。
その体の形状はどんなつくりなのでしょうか。
意外と着目しないカメの「骨格」について、見ていきたいと思います。
カメ類共通の特徴
海性、陸性に関わらずカメ類共通の特徴は、「歯がない」ことです。
その代わり、嘴(口の縁にある黒っぽい部分)が爪切りのような役割をして、獲物(動物)を捕らえます。
また、カメの甲羅は背骨と肋骨でできており、甲羅により肩甲骨など腕の骨は甲羅の中にあります。
通常の羊膜類(胚が羊膜に包まれている哺乳類、鳥類、爬虫類などの動物)の肋骨は、背骨から腹側へと互いに平行に伸びますが、カメの肋骨は腹側には伸びずに、背骨から横に広がり、さらに背側で扇状に広がります。
この肋骨の幅が広がって、隣同士の肋骨がつながり、骨性の板を作ったものが甲羅になるのです。
淡水性・海水性の違い
同じカメでも海水性、淡水性で違いがあります。
海水性は深い潜水をするため、強固で形の変わらない甲羅は都合が悪いため、骨格は発達せず、陸上や淡水性のカメのように一体化していません。
そのため、甲羅は外部の圧力で変形させることができ、体の体積を変化させて深い潜水を可能にしています。
海水性のカメの中でも違いがある
海水性のカメでもアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイで違いがあります。
アオウミガメ
アオウミガメは主に海草食で、食べたものを細かくしやすくするために、上顎の裏に段(筋)がることが特徴です。
アオウミガメ(提供:ちそう株式会社)また、上顎と下顎は細かい鋸歯状で、植物食性の動物が持つ歯と同様の役割をしています。
ウミガメ科の中では相対的に頭部が小さく、丸みを帯びた形をしており、嘴も突出していません。甲羅の表面は滑らかです。
アオウミガメ頭部の骨格(提供:ちそう株式会社)アカウミガメ
アカウミガメの頭部はウミガメ科の中では相対的に大きくなっています。
餌が硬い殻を持った貝類や甲殻類であるため、他種と比べて下顎内転筋が強大で、下顎や嘴も頑丈です。
アカウミガメ(提供:PhotoAC)甲羅の表皮のケラチン質の部分はところどころで剥離したように粗く、そのためか藻類が生えたり、それとともに泥がたまり、そこにワレカラ類やヨコエビ類がすみつき、生物群集が形成されることもあるとか。
四肢の前縁部にある爪はアカウミガメのみ2対あり、この爪は成熟した雄で鉤状に伸長し、交尾の際に雌を捕捉するのに役立つと言われています。
タイマイ
タイマイの頭部は相対的に小さく、嘴が突出しています。
下顎も上顎に伴って尖っており、サンゴの隙間の付着生物を掴み取って食べるのに適しています。
タイマイ(提供:PhotoAC)腹甲の表面は他種に比べて滑らかではありません。甲羅の鱗板はケラチン質が厚く蓄積されるため、古くから鼈甲細工の材料として利用されてきました。
他種に比べると四肢の基部は細く、筋肉量も多くありません。
カメといってもさまざま
このように、同じカメでも生活様式によって、各部に特徴があったり、甲羅の肌触りが違ったりと様々です。
この機会に「骨格」という観点から、カメを観察してみると、新たな一面が見られるかもしれません。
水族館などでいつもと違った視点で観察してみてください。