サメのヒレから作られる中華料理の高級食材フカヒレ。一口にフカヒレといっても様々なサメが使われていることが知られており、中には絶滅危惧種も含まれているといいます。
この記事ではフカヒレやその原料であるサメの漁業についてご紹介します。
高級食材・フカヒレとは
フカヒレはフカ(サメ)のヒレを乾燥させた食材で、原料となるサメの種類やヒレの部位により価格が異なります。
中国ではフカヒレ、アワビ、ナマコ、魚の浮き袋が四大海味として知られており、いずれも高値で取引されます。高級食材である一方、香港では祝い事に欠かせない食材で、その需要は中国本土だけに留まりません。
日本におけるフカヒレ
フカヒレ=中国のイメージが強いですが、かつて、日本と中国で行われた貿易ではフカヒレが輸入品として重宝されたとも言われています。フカヒレ、ナマコ、アワビの3品を俵に詰め込んだものは「俵物三品」と呼ばれ中国へ輸出されていたそうです。
現在、国内で流通するフカヒレは中国産も多くありますが、国産のフカヒレも存在します。特に気仙沼はフカヒレの産地として有名であり、生産量は日本一。品質が良いことから中国への輸出も行われているようです。
気仙沼がフカヒレの産地として知られる一方、近年ではインドネシアやシンガポールでの生産量が増加しているといいます。
ヒレのみ切り落とすシャークフィニング
フカヒレの原料であるサメのヒレは、サメ全体からすれば僅かであり、他の部分は高い商品価値がないのが現状です。
そのことから、漁獲または混獲されたサメのヒレのみを切り取り、生きたまま海洋へ投棄するシャークフィニングが横行しており、近年、国際的に問題視されています。
シャークフィニングは残酷であることに加えて、ヒレのみで流通することから、絶滅危惧種であったりワシントン条約で規制された種であっても同定が困難であることが問題点として挙げられます。
現在、シャークフィニングは多くの国で禁止・規制されている他、イギリスのようにフカヒレ及びフカヒレ製品の輸出入を禁止している国もあるようです。
公然と取引される絶滅危惧種たち
フカヒレは単にフカヒレとして流通するものの、原料となるサメの種類は様々であり、種によって大きさも異なります。フカヒレ市場は非常に膨大であることから、サメの乱獲が懸念されているものの、種名が表記されていないフカヒレから種を特定することは困難でした。
しかし近年、DNA解析の精度が向上しフカヒレから属または種レベルまでの同定が可能になりました。
フカヒレによるサメ類の同定は各機関で行われており、シンガポールの取引所で行われた調査「DNA barcoding continues to identify endangered species of shark sold as food in a globally significant shark fin trade hub」では実に16属27種ものサメが種同定されました。このうち6種はワシントン条約の付随書IIに挙げられている他、CR(近絶滅種)が3種、EN(絶滅危惧種)が4種、VU(危急種)が10種含まれていたことが明らかになりました。
1
2