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「魚の王様」と呼ばれるペヘレイはなぜ日本へ 現在では稀な存在?

「魚の王様といえば?」と聞かれれば「マダイ」と答える人が多いのではないでしょうか。

しかし、日本には「魚の王様」を意味する名前が付いた、正真正銘の魚が生息しています。

その名もペヘレイという魚です。

ペヘレイとは

ペヘレイ Odonthestes bonariensis はトウゴロウイワシ目トウゴロウイワシ科ペヘレイ属に分類される魚です。トウゴロウイワシ科の魚は日本に12種程生息しており、日本のペヘレイ属は本種のみが知られています。

本種はトウゴロウイワシ科の中でも大型になる魚で、体長は40センチ程にまで成長。日本産のトウゴロウイワシ科はせいぜい数センチから十数センチなので、いかにペヘレイが大きいのかがよく分かるでしょう。

ペヘレイと同じトウゴロウイワシ科のギンイソイワシ(提供:PhotoAC)

また、日本産のトウゴロウイワシ科は浅海から河口域に生息しますが、ペヘレイは淡水域にも生息する特徴があります。

色々と変わった特徴を持つペヘレイですが、実はこの魚、本来日本には生息しない外来生物なのです。ペヘレイ(pejerrey)の名も日本語ではなくスペイン語の「魚の王様」が由来になっており、その名に相応しい美味な味わいだといいます。

変わった名前かと思ったら、そもそも日本語由来ではなかった訳です。

ペヘレイはなぜ日本に?

ペヘレイは本来、アルゼンチンのブエノスアイレス地方及びブラジルのリオグランデドスル州に自然分布する魚。この他、日本を含むチリやペルーなど様々な国へ導入されています。

ペヘレイが日本へ導入されたのは1966年のこと。アルゼンチンのブエノスアイレスからペヘレイの卵が増養殖を目的とし人為的に運搬されます。卵は神奈川県の内水面試験場の前身である淡水魚増殖試験場に持ち込まれ、人工増殖や定着を目的とした湖沼への放流が行われました。内山岩太郎県知事がアルゼンチン大使を勤めていた過去もあり、神奈川県はペヘレイ事業に力を入れますが(ペヘレイ-平塚市博物館)、養殖は難しく定着は思うように進みません。

レインボーフィッシュもトウゴロウイワシ目の魚(提供:PhotoAC)

1988年には霞ヶ浦の北浦でペヘレイが初めて確認されます。1994年になるとワカサギトロールでよく見られる魚となり、1999年にはワカサギトロールでの漁獲物のうち80%がペヘレイだった時もあるとか(霞ヶ浦の外来魚による生態系崩壊-国立環境研究所)。

ワカサギと生態的ニッチが被ることから、生態系への悪影響が懸念されたこともあったといいます。

ペヘレイのその後 激減の要因は不明

その後2011年には霞ヶ浦にたくさんいたペヘレイはほとんど見られなくなり、現在は稀にしか見られません。

かつて、放流や養殖が精力的に行われたペヘレイですが、現在ではその名を聞くことも減りました。今でも稀に採集されることがあるようですが、昔のように多獲されることはありません。

ペヘレイ激減の原因はハッキリとしませんが、本来、日本にいてはいけない外来魚なのでこれが正しい形だと言えます。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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