主に北日本の太平洋側で漁獲されるサメガレイは有眼側を被う骨質突起が特徴の魚です。
昔は安価な魚として知られていましたが、近年、本種の食味が評価され始め、価格が上昇している魚でもあります。
この記事ではサメガレイについてご紹介します。
“サメ肌”を持つ珍しいカレイ
サメガレイはカレイ科サメガレイ属に分類される魚で、本属はサメガレイのみ知られています。
本種はカレイ科の中では大型であり、よく見られるのは体長50センチ前後。有眼側は一様に黒く、イボ状の骨質突起が体表を被うことが最大の特徴。イボ状の突起が密在することから、手触りがザラザラとしており、これが“サメ肌”を彷彿とさせることが名前の由来と考えられています。
本種の分布域は東シナ海、渤海、黄海、日本、ブリティッシュコロンビア州南部と広く、国内では琉球列島を除く各地に分布。主に東北や北海道で見られる魚で、刺し網、定置網、底引き網で漁獲されます。産地のひとつである宮城県では「ホンダガレイ」とも呼ばれているとか。
本種は水深50~1000メートルの砂泥底に生息し、寿命はメスで22歳、オスで15歳。成長に伴い1000メートル以深へ移動し、産卵期は500~1000メートルの産卵場に集まります。
サメガレイはクモヒトデを好んで食べる
変わった名前と見た目をしているサメガレイですが、その食性も少し変わっていて、なんとクモヒトデを専食する魚なのです。
実際、三陸・常磐沖で漁獲されたサメガレイを対象にした調査では、摂餌していた個体の胃内容物はすべてクモヒトデだったことが判明しています。
クモヒトデを好んで食べる魚はサメガレイの他、同じカレイ科のアカガレイやカワビシャ科のテングダイが知れています。いずれの魚も美味しい魚なので、もしかするとクモヒトデを好んで食べている魚は味が良くなるのかもしれませんね。
見た目は少し悪いかもしれないけど味は絶品
ユニークな食性と形質を持つサメガレイですが、時として見た目が悪いと言われてしまうことも少なくありません。加えて、粘液が多いことから、かつては安い魚だったといいます。
しかし、近年では脂ののりが評価されたことや、神経締めなど付加価値を付けたことにより価格が上昇している魚です。
近年、関東の市場でも見られる魚になってきており、丸のまま入荷があります。
魚屋ではサクや刺身の状態で売られており、体色の黒さと正反対の白い身をしていることが特徴です。脂の乗りがよく、刺身はもちろんのこと焼き物や煮付け、様々な料理で食べられています。
全国的にはまだ知名度の低いサメガレイ。見た目の評価は分かれますが、味は確かなので見かけた際にはぜひ食べてみてください。
(サカナト編集部)