山吹色のカラフルな体色が目にあざやかな「ヤマブキベラ」。
見た目からして特徴的なこの魚ですが、実は「性転換」をする魚です。性転換の途中には色合いも変化が見られます。
山吹色の体色が美しいベラの仲間
ヤマブキベラはスズキ目ベラ科に属する海水魚。その名の通り、目にあざやかな山吹色の体色が特徴の美しい魚です。
太平洋やインド洋の熱帯域に広く分布しており、通常は岩場の多いサンゴ礁周辺などでよく見られます。
全長はおよそ25センチほど。初めてヤマブキベラを目にした人は、その大きさや見た目の派手さに驚くことも多いといいます。
日中は活発に動き回る性質を持つヤマブキベラは、好奇心が強い魚としても知られています。休むときは砂に潜らず、岩場や岩陰に身を潜めるケースが大半です。
また、幼魚の場合は「潮溜まり」に入ることもあります。
ヤマブキベラのオスとメスの違い
ヤマブキベラの外見上の特徴として、オスとメスで体色が異なる点が挙げられます。
ヤマブキベラのオスは青緑色のあざやかな色合いをしており、メスよりも派手な印象があります。また、頭部に赤い帯状の模様が目立つのもオスの特徴の一つです。
一方、ヤマブキベラのメスは一様に黄色か黄緑色の体色をしています。オスのように目立つ模様やカラフルな体色は持ちませんが、そのぶん全体的にやわらかい印象があります。
多くのベラ科同様に、ヤマブキベラにも性転換がみられます。
ある程度成長したメスの群れから限られたヤマブキベラがオスに性転換します。性転換途中の微妙な色合いも趣がありますよ。
ヤマブキベラの華やかな色合いは、色あざやかなサンゴ礁によく映えます。そのため、熱帯魚ファンやダイバーのあいだでは観賞魚としての人気も高いのだとか。
人によっては、“和”の雰囲気があるメスの体色のほうが好みだと感じることもあるようです。オスとメスの両方にそれぞれ異なる美しさがあるのも、この魚の特徴のひとつかもしれませんね。
飼育魚としてのヤマブキベラ
ヤマブキベラは比較的丈夫な魚であるため、自宅での飼育は可能です。ただし、遊泳性が高く活発に泳ぎ回る習性があるため、狭い水槽での飼育はおすすめできません。
また、何らかのショックやストレスから突然水槽から飛び出すリスクも考慮する必要があります。小型水槽ではなく広々とした大型の水槽を用意し、水槽にぴったり合う蓋を常に隙間なく閉めておくなどの対策を取りましょう。
一度飼育しはじめたヤマブキベラは絶対に外に逃がすことのないよう、最後まで責任を持って飼育してくださいね。
あざやかな色彩を持つヤマブキベラの唯一無二の美しさを、ぜひ間近で観察してみてくださいね。
(サカナトライター:糸野旬)