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水族館飼育員の努力の結晶 展示や飼育が難しいといわれている魚

日本には、水族館大国といわれるほど数多くの水族館があります。水の生きものと身近にふれあえる場として幅広い年代に親しまれていますが、そんな水族館でもなかなかお目にかかれない魚もいます。

今回は、水族館で展示や飼育が難しいといわれている魚について紹介します。

神経質でデリケートな<サンマ>

秋が旬のサンマは、スーパーや食卓に並ぶ姿を見かけることはありますが、泳いでいる姿を目にしたことがある人は少ないのではないでしょうか。2023年9月現在、国内でサンマを見ることができる水族館は、福島県にあるアクアマリンふくしまだけです。

世界的に常設展示している水族館はないといわれるサンマですが、神経質なため、光などのわずかな環境の変化でもパニックを起こし、水槽の壁面にぶつかって死んでしまうことがあります。また、デリケートなため鱗がはがれたり体表に傷がついたりしやすく、生きたまま水族館に連れて帰ることも困難であるといわれています。

近年、サンマの漁獲量が大幅に減少し、価格が高騰していることは有名な話でしょう。今後、私たちがサンマを食べ続けるには、養殖を行うことが必須ともいわれています。水族館でのサンマの飼育は、生態を解明し、養殖研究を進める大きな一歩になるかもしれません。

観光の変化に敏感<クロマグロ>

寿司の定番ネタであるマグロも、実は水族館ではあまり見ることができない魚の一種。マグロの仲間は世界で8種類日本国内では5種いますが、中でもクロマグロは体長3メートルになり、体重は400キロを超えることもある種類です。

クロマグロ(提供:PtotoAC)

魚類の多くがエラで呼吸をしていることはご存知の人が多いでしょう。一般的な魚の呼吸の仕方は、口から取り入れた水の中に含まれる酸素をエラで吸収することで呼吸しています。この時、鰓蓋を開け閉めすることで酸素と二酸化炭素の交換を行っています。

しかし、マグロの仲間は、鰓蓋を開け閉めして呼吸するだけでは酸素の量が足りなくなってしまうため、常に口と鰓を少し開けたまま高速で泳ぐことで、より多くの水を流し込み、体内に酸素を取り入れています。そのため、マグロの仲間は高速で泳ぎ続けなければ死んでしまいます。

つまり、マグロを水族館で飼育するためには、第一に、常に高速で泳ぎ続けられる広い環境が必要となるのです。

また、クロマグロは環境の変化にも敏感で、照明の変化やわずかな振動でパニックを起こしてしまうことも飼育が難しいといわれる理由のひとつです。

マンボウ

マンボウはフグ目マンボウ科に属するフグの仲間です。

マンボウ科の魚はフグの仲間の中では、最も大きくなるグループであり、大きいものでは体長は3メートル程になります。近年、飼育する水族館が増えてきましたが、実はマンボウも飼育が難しいといわれてきました。

マンボウ(提供:PtotoAC)

マンボウは表層から水深800メートル程を行き来しており、生態的にもまだまだ謎が多いといわれています。

最近になり、自然界ではクラゲなどの柔らかいものを食べていることがわかりましたが、水族館での餌は、魚をミンチにしてつくった団子状やゼリー状のものを手作りして工夫しています。

また、マンボウは透明の壁を認識しにくく、壁にぶつかると怪我をしやすく、傷から病気になることもあるため、水槽の壁面に透明のビニールシートやフェンスを設置することで、怪我を防いでいる水族館が多いようです。

飼育員の努力や苦労を知り、水族館をさらに楽しもう

水族館を訪れれば当たり前のように魚が見られると思いがちです。しかし、自然界から生きものを連れてきて展示に至るまでには、飼育員の努力や苦労が詰まっています。

飼育員の努力・苦労を想像しながら魚を鑑賞をすることで、より水族館を満喫できるかもしれません。

(サカナト編集部)

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