四万十川にすむ特徴的な魚や水生動物
怪魚のほかにも、四万十川に生息する多様な生きものたちが飼育展示されています。
ヤリタナゴ(提供:PhotoAC)このうち、夏場には塩ゆでや唐揚げにするとおいしいと人気のテナガエビ、愛媛県と高知県にしか生息しないヒナイシドジョウを紹介します。
テナガエビ
四万十川には「テナガエビ」「ヒラテ(ヤマト)テナガエビ」「ミナミテナガエビ」の3種類のテナガエビが生息しています。
ミナミテナガエビ(撮影:額田善之/撮影場所:四万十川学遊館あきついお)名前のとおり、オスのはさみがとても長いのが特徴で、9センチほどになる川エビです。全国の河川で生息していますが、日本最後の清流と呼ばれる四万十川のテナガエビはとてもおいしいことで有名です。
それぞれのテナガエビは生息場所が微妙に異なっており、河口から100キロ程上流にわたって生息します。
四万十川では2010年に漁獲量が激減したため、テナガエビの禁漁期間を設けることで個体数のさらなる減少を抑制できたそうです。高知県では、この3種は準絶滅危惧種(NT)に指定されています。
ヒナイシドジョウ
ヒナイシドジョウ(学名:Cobitis shikokuensis)は、愛媛県と高知県にしか生息していないイシドジョウの仲間です。
九州に生息するイシドジョウと同じと考えられてきましたが、2006年に別種とされ、ヒナイシドジョウとして新種登録されました。
ヒナイシドジョウ(提供:四万十川学遊館あきついお)日本のドジョウの中で最も小さく最大でも7センチ程度にしかならず、側面には暗褐色の縦帯と点列が並んだ模様があります。メスの方が大きく、オスは5センチほどしかありません。
高知県指定希少野生動植物に指定され、環境省レッドリスト2020では絶滅危惧IB類 (EN) に指定されるほど希少な魚です。
とんぼ館でトンボについても学習しよう
四万十川学遊館あきついおのとんぼ館には、トンボの標本やトンボに関する情報が展示されています。
魚を見たあとに、ぜひとんぼ館でトンボについても学んでください。クイズが設置されており、子どもから大人まで誰でも楽しみながら学ぶことができます。
四万十で見られるトンボ(撮影:額田善之、撮影場所:四万十川学遊館あきついお)なお、『トンボ王国』内にある四万十市トンボ自然公園内は、自然保護区のため全ての動植物の採集禁止です。
キャッチ&リリースもできませんが、ルールを設けた上で生きものを捕まえることができる各種イベントが開催されることもあります。詳しくは公式サイトをチェックしてみてくださいね。
(サカナトライター:額田善之)
参考資料
公益財団法人 四万十川財団-清流通信310章~ アカメと人と ~
公益財団法人 四万十川財団ー四万十川におけるテナガエビ属資源の回復に向けて ~四万十川流域での産業振興と環境の調和に関する研修会~
細谷 和海、内山 りゅう、藤田 朝彦、川瀬 成吾、井藤 大樹(2025)、山渓ハンディ図鑑 日本の淡水魚 第4版、山と溪谷社
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