今月4日に沖縄県石垣島で今年初となるクロマグロが水揚げされました(本マグロ今期初水揚げ 1日から解禁 八重山漁協-八重山毎日新聞)。クロマグロの大きさは体長205センチ、目方は162キロだったそうです。石垣島のクロマグロ漁は4月下旬に最盛期を迎え5月頃まで続きます。
マグロといえば焼津港や三崎港のほか、青森県大間町で水揚げされる「大間のクロマグロ」などが有名ですが、沖縄・八重山列島も日本屈指のマグロの産地であることを知っていますか?
1年を通してマグロが水揚げされる沖縄
八重山は主要な食用マグロであるクロマグロ(本マグロ)、キハダ、メバチ、ビンチョウ(ビンナガ)の4種すべてが水揚げされる地域で、マグロの種類によって漁期は異なるものの1年を通してマグロ類が水揚げされます。
八重山周辺海域は4月下旬~6月上旬にかけてクロマグロが産卵のために回遊してくることから、沖縄県の漁船はもちろんのこと、県外からもクロマグロを求めて漁船が集まるそうです。また、沖縄ではマグロを狙ったスポーツフィッシングも盛んに行われています。
沖縄でのクロマグロ漁は「延縄漁」 縄を上げるのに10時間?
沖縄県のクロマグロ漁は主に延縄漁。延縄漁とは1本の長い縄(幹縄)に針のついた縄(枝縄)がいくつも付いた仕掛けを使う漁です。日本各地で取り入れられている漁法で、主にマグロ類やサケ類を狙う場合に使われます。
沖縄県におけるマグロ延縄は幹縄が約100キロメートルにも及び、枝縄の数は2000本以上にもなるといいます。この仕掛けを5時間かけて海に投入し4時間程待機。縄を上げる時間は10~15時間もかかるそうです。
沖縄県に限らずマグロ延縄漁ではマグロの他にサメがたびたび混獲されることから、サメの個体数減少を懸念する声もあります。
沖縄で水揚げされるクロマグロの大きさ
今回、水揚げされたクロマグロの大きさは2メートル程で、重さは162キロ。一般的な感覚からすれば十分な大きさに感じますが、これでもまだ小ぶりなんだそう。
実際、クロマグロは最大3メートル、重さは300キロを超えることもある大型魚で、2018年3月12日、和歌山県那智勝浦町の勝浦漁港で450キロものクロマグロが記録されています(クロマグロ過去最大記録更新 450キロ・274センチ、刺し身3千人分 和歌山・勝浦漁港に巨大マグロ水揚げ-産経新聞)。
沖縄で水揚げされるクロマグロの大きさは?
では沖縄県で水揚げされるクロマグロの大きさはどのくらいなのでしょうか。
少し古いデータですが、2002年における糸満新港のクロマグロの水揚げ量は4月が7尾、5月が165尾、6月が48尾。4月に漁獲されたクロマグロは115~245キロ、5月では73~265キロ、6月では96~240キロ(沖縄県内のクロマグロの体長組成、漁場位置の推移)。2006年では4~6月の間に612尾のクロマグロが水揚げされ5月には293キロの大きなクロマグロが漁獲されています(沖縄周辺海域におけるクロマグロの体長等組成及び漁場位置の推移)。
八重山ではクロマグロが八重山牛のように大きくて黒いことから「ウシ」とも呼ばれているそうです。
マグロの産地としてまだ知名度の低い八重山ですが、春マグロのブランド化を目指しており「冬の大間、春の石垣」が広がっていくことを期待されています。今後、八重山の美味しいマグロがさらに身近になるかもしれませんね。
(サカナト編集部)