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世界的にも珍しい<魚竜>の化石が見つかる 30年以上前から美術館で展示?【岡山県高梁市】

6月29日に北海道大学で開催された日本古生物学会で、岡山県高梁市で産出した後期三畳紀の岩石から発見された脊椎動物の化石が「魚竜」であることを発表しました。

魚竜はかつて地球上に生息していた爬虫類であり、日本国内ではこれまでウタツギョリュウクダノハマギョリュウなどが見つかっています。

西日本から魚竜の化石が発見されるのは初とのことであり、後期三畳紀の魚竜化石は世界的にも珍しいようです。

見つかったのは2億年以上前の化石

今回、魚竜の化石が発見されたのは、岡山県高梁市で産出した後期三畳紀の岩石。およそ2億2000万年前のものです。

岡山県高梁市(提供:PhotoAC)

この岩石は幅59センチ、奥行き34.5センチ、高さ26センチの泥質砂岩であり、後期三畳紀の標準化石であるモノチス(二枚貝)の化石標本として、高梁市成羽美術館で展示されていたものだといいます。

さらにこの化石は1994年の新築開館前から既に展示されており、産地は高梁市であると記録が残っていたようです。

ではなぜ、30年以上前から美術館で展示されていた化石から魚竜が発見されたのでしょうか?

中高生向けの授業で偶然の発見?

発見のきっかけは2023年7月26日に行われた、加藤敬史教授と福井県立恐竜博物館の湯川弘一研究員による中高生を対象とした授業だったといいます。

この授業では、地層や岩石を対象とした野外実習が行われました。

成羽美術館(提供:PhotoAC)

高梁市成羽美術館の化石展示室で講義をする中、加藤教授は岩石の側面に「骨片」が含まれているのを発見。海綿骨が多く、緻密骨が極めて薄いことから、加藤教授はこの骨片を海生に適応した爬虫類のものと考えたといいます。

その後、化石を含む部分が厚さ14センチ程に板状にカットされ、福井大学医学部のエックス線CTにより、岩石の中にどのくらい化石が埋まっているのか調査が実施されました。

骨片の特徴が魚竜と一致 魚竜の化石は西日本初

エックス線CTによる調査の結果、肋骨11点、椎体3点、肩甲骨1点などからなる計21点の骨片が確認されています。

さらに研究の結果、椎体が薄いことに加え砂時計状にくぼむこと、肋骨に溝が入って断面がひょうたん型であること、肩甲骨が細長くくびれていることなどが判明。これらの骨片の特徴から魚竜であると結論付けられました

これまで日本で発見されている魚竜の化石は前期三畳紀のウタツギョリュウ、中期三畳紀のクダノハマギョリュウ、前期ジュラ紀のホソウラギョリュウが知られており、いずれも宮城県南三陸町から見つかってる化石です。

そのため、今回、岡山県高梁市から産出した魚竜の化石は西日本初となりました。また、この時代の魚竜化石が発見されたのは国内で初めてのことです。

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サカナト編集部

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