株式会社イノカ(東京都文京区)は、閉鎖環境(同一水槽内)における南方系ゲンゴロウ3種の産卵から羽化までの繁殖に、世界で初めて成功したと発表しました。
自然環境下では外部要因の影響が多く、企業活動と生態系変化の因果関係を特定することが困難とされていましたが、イノカは独自技術「環境移送技術」によって課題を解決し、閉鎖系のラボ環境下で精密に数値化・可視化できることを実証しました。
イノカ、閉鎖環境で南方系ゲンゴロウの産卵〜羽化を完全再現
イノカは、独自技術「環境移送技術」によって、企業活動と生態系変化の因果関係を、閉鎖系のラボ環境下で精密に数値化・可視化する取り組みを続けています。
今回、生態系ピラミッドの重要な位置を占めるゲンゴロウのライフサイクルを閉鎖系で再現できたことは、単なる一種の保存に留まらず、里山や淡水域という複雑な生態系そのものをラボ内に再現可能になったことを示しているといいます。
トビイロゲンゴロウ(提供:株式会社イノカ)イノカはこれを受け、これまでサンゴ礁やマングローブなどの海洋生態系で培った知見を、陸域・淡水域といった“里山”へと拡張。「環境移送技術」を活用することで、企業は自社の技術やアクションが自然に与える影響を、客観的なエビデンスに基づいて把握することが可能となるそうです。
今回の繁殖研究に使用した水槽(提供:株式会社イノカ)「エコトーン」再現で同一水槽内共存を可能に
これまで、ゲンゴロウなど水生昆虫の幼虫飼育は、共食いの観点からプラスチック容器などを活用した個別管理が主流だったといいます。
今回の実験では、ゲンゴロウ飼育者の「しん氏」との共同研究により、水域と陸域の境界である「エコトーン(遷移帯、2つの環境が接する境界面)」を水槽内に再現し、生態系を丸ごと再現する「環境での飼育」により、同一水槽内での自然な共存と繁殖を可能にしました。
その結果、ヒメフチトリゲンゴロウ、トビイロゲンゴロウ、オキナワスジゲンゴロウの南方系ゲンゴロウ3種において、閉鎖人工環境下での繁殖に成功しました。
ヒメフチトリゲンゴロウ(提供:株式会社イノカ)里山を“制御可能なフィールド”に
今回の南方系ゲンゴロウの繁殖成功により確立された技術は、日本の国土の約4割を占める里山生態系への応用とその環境下での技術的検証を可能にするといいます。
今後、里山を企業の技術や製品を応用・検証するための“制御可能なフィールド”として提供することで、新たなネイチャーポジティブビジネスの創出を加速させるとのことです。
(サカナト編集部)