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温暖化で長良川のアユが“南方化”? 30年間のデータから新たな生態変化を明らかに

長野大学、岐阜大学、岐阜県の研究グループは、長良川を遡上するアユの長期データを分析し、温暖化による海水温の上昇がアユの海洋生活期間を短縮させていることを明らかにしました。

研究では、アユが冬の海で過ごす期間は過去30年間で短くなる傾向が確認されており、地域におけるアユの生態がより南方の個体群に近づく“南方化”が進んでいる可能性が示されました。

研究成果は、国際学術誌「Journal of Fish Biology」に2026年6月11日付で掲載されています(論文タイトル:Climate-driven shifts in early life history via shortened marine residence in amphidromous ayu Plecoglossus altivelis)。

長良川の長期データから温暖化の影響を分析

アユは秋に河川で生まれた後、海へ下って冬を過ごし、春になると再び川へ戻る回遊魚です。これまで、海で生活する期間は南方地域ほど短いことが知られていましたが、その要因や近年の気候変動との関係は十分に解明されていませんでした。

研究グループは、岐阜県水産研究所に蓄積されていた1995年から2025年までの長良川のアユのデータを活用。長良川河口堰で捕獲されたアユの耳石を分析し、個体ごとの日齢を推定することで、海で過ごした期間と環境条件との関係を調査しました。

図1. 長良河口堰で捕獲した遡上アユ(左)、摘出した耳石(中)、研磨した耳石の輪紋の様子(右)(提供:岐阜大学)

その結果、冬季の海洋生活期間は河川水温よりも海水温との関連が強く、海水温が高い年ほど海で過ごす期間が短くなることが判明しました。

海水温上昇で海洋生活期間は約12日短縮

解析により、アユの海洋生活期間には年ごとにばらつきがあるものの、過去30年間で平均して約12日短縮する傾向も確認されました。

また、伊勢湾の海水温は近年明確な上昇傾向を示しており、温暖化がアユの生態に影響を及ぼしていることが示されています。

冬季海水温と海洋生活期間との関係(提供:岐阜大学)

研究グループによると、海水温が高い環境ではアユの成長が促進され、河川へ遡上できる体サイズに早く到達するため、海で過ごす期間が短縮していると考えられるといいます。

これは長良川のアユの生態が、もともと海洋生活期間の短い南方地域のアユに近づいていることを意味しており、研究グループはこれを「アユ生態の南方化」と表現しています。

川だけでなく海も含めた資源管理の重要性を示す成果

これまでの研究では、長良川のアユは温暖化の影響によって秋の産卵や孵化の時期が遅れることが報告されていました。

一方で今回の研究では、冬の海洋生活期間が短縮していることが明らかになり、両者の変化が相殺されることで、春の遡上時期には大きな変化が表れていない可能性も示されました。

研究グループは、アユの資源管理や生態を考えるうえで、河川環境だけでなく海洋環境にも着目する必要があると指摘しています。特に海と川を行き来する仔魚・稚魚期の生態解明は、今後の資源管理や気候変動の影響評価において重要な知見になるとしています。

今後は、見かけ上大きな変化が確認されていない遡上時期についても詳細な分析を進め、気候変動がアユの再生産や資源量に与える影響の解明を目指すとしています。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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