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常識を見直す最新研究を紹介? 国立科学博物館で生命活動を支える「pH応答」の関連展示【東京都台東区】

国立科学博物館は現在、東京・上野本館の地球館地下2階「ディスカバリーポケット」で、生命活動を支える「pH応答」の仕組みをテーマに、研究の最前線をパネルや標本、映像などを通じて紹介しています。

研究紹介は10月18日まで実施予定です。

「細胞内のpHは一定」という常識を見直す研究

今回紹介されるのは、文部科学省科学研究費助成事業「学術変革領域研究(A)『pH応答生物学の確立』」の一環として進められている研究です。

国立科学博物館は、理化学研究所や京都大学、東京大学などとともに、2025年度から研究プロジェクトに参画しています。

一般的にpHは、液体が酸性かアルカリ性かを示す指標として知られています。従来の生命科学では、細胞内のpHは常に一定に保たれていると考えられてきました。

しかし近年では、生物はpHの変化を受けるだけではなく、自ら細胞内のpHを変化させ、その変化を生命活動の調節に利用している可能性が明らかになりつつあります。

研究では、この仕組みを多様な生物で解明し、新たな学術分野「pH応答生物学」の確立を目指しています。

有孔虫やキリフィッシュを通して生命の仕組みを紹介

展示では、国立科学博物館が研究を進める有孔虫を中心に、現在進行中の研究成果を紹介。有孔虫は「星の砂」として知られる単細胞生物で、炭酸カルシウムの殻を持つことが特徴です。

pH8.0~8.4で飼育した有孔虫。全長3ミリほど(提供:文化庁)

研究では、海洋酸性化を想定した低いpH環境で飼育した結果、通常の海水で育てた個体と比べて成長が抑制されることが確認されており、pHの変化が生物に与える影響を探っています。

発生休眠する<ターコイズキリフィッシュ>

また、乾季を乗り切るために胚の発生を一時停止する「発生休眠(ディアポーズ)」という特徴を持つアフリカ原産のターコイズキリフィッシュの研究も紹介。研究では、細胞内のpHをはじめとする環境変化が発生休眠の仕組みにどのように関わっているのかを調べています。

ターコイズキリフィッシュのライフサイクル(提供:文化庁)

展示会場には、有孔虫の実物標本や3D拡大模型、ターコイズキリフィッシュの休眠胚の展示に加え、研究者が研究内容や見どころを解説する映像も放映されています。

生体内のpHを可視化する技術開発も進行

研究プロジェクトでは、生物がpHの変化をどのように感知し、適応しているのかを解明するとともに、生体内で起こるわずかなpH変化を可視化する技術の開発にも取り組んでいます。

高感度MRIや遺伝子解析、代謝物解析などを活用し、これまで観察が難しかった生体内の変化を捉えることで、生命現象の理解をさらに深めることを目指しているそうです。

会期中の10月11日には、研究内容を一般向けに紹介するシンポジウムも開催予定。展示では、最先端の生命科学研究を身近に感じられる内容となっています。

詳しくは「pH応答生物学の確立」特設ホームページに掲載されています。

※2026年8月1日時点の情報です

(サカナト編集部)

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