魚を海に逃がしてはいけない
上記のような、幼魚と成魚で色彩や模様が大きくことなるスズメダイ科魚類は、成長するにつれ「持て余す」ことが多くなってしまいます。そうなると、海へ放流されることもあり、問題となります。
中には「採集したところと同じところに放流するのだから問題はない」という人もいるでしょうが、基本的にはこのスズメダイ科の魚を単独飼育しているのではなく、他の場所、他の期間に獲れた、または購入した魚と一緒に飼育しているケースが多いのです。
そのなかに病気の魚や寄生虫の魚がいたら、放流することで病気や寄生虫が海に放流されてしまう可能性もあるわけです。魚の放流はもといた場所でもしないようにし、魚を飼いきれなくなった場合は観賞魚店に引き取ってもらうようにしましょう。
しかし一番重要なのは、あらかじめ採集した魚、あるいは購入しようとしているの種類を調べて、終生飼育できない魚を無理に持って帰らないことです。これについてはスズメダイ科のような気性が激しい魚だけでなく、ハタ科のような大型魚や、アジ科のような泳ぎ回る魚についても同じようなことがいえます。
(サカナトライター:椎名まさと)
参考文献
加藤昌一 .2011. ネイチャーウォッチングガイドブック. スズメダイ.~ひと目で特徴がわかる図解付き~ 誠文堂新光社.東京. 240pp.
益田 一・荒賀忠一・吉野哲夫. 1975. 魚類図鑑 南日本の沿岸魚.東海大学出版会.東京.379pp.