日本は約120の水族館がある世界有数の水族館大国です。展示内容も多岐にわたり、同じ水族館といえどその展示内容は様々です。
そもそも「水族館」とは何なのでしょう? 定義が存在するのでしょうか。何をもって「水族館」と呼ぶのでしょうか。
今回は様々な本や証言などを引用しながら、水族館とは何なのかを考察していきます。
水族館は博物館なのか?
博物館の設置や運営について規定された博物館法という法律があります。ここでは水族館は博物館の一形態であるとされています。関連する部分を抜粋して記載します。
博物館法 第2条 定義(一部を抜粋・整理して記載)
「この法律において『博物館』とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学に関する資料を収集、保管し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をする機関」
多くの水族館関係者は「水族館は博物館である」と主張します。それはこの法律の「自然科学」の部分を担う博物館の一部が水族館であると解釈されているためです。後に社会教育局長による通達や文部省による掲示でも、水族館は博物館であるという解釈がされています(新版 水族館学 鈴木克美・西源二郎 著 2010年発行 より引用)。
UNESCO・国際博物館会議(ICOM)による解釈
さらにUNESCOの傘下である、国際博物館会議(International Council of Museum 通称:ICOM)という世界中の博物館や博物館専門家によって構成される国際的な非政府組織があります。1989年9月5日にオランダ・ハーグで行われたICOMの第16回総会では以下のような規約があります。
次の機関を博物館とみなす
(ⅱ)植物、動物の生物標本を収集・展示する機関、即ち植物園、動物園、水族館、ビバリアなど
このように、世界中の専門家の集まるICOMにおいても、水族館は博物館の一部だと解釈されているようです(新版 水族館学 鈴木克美・西源二郎 著 2010年発行 より引用)。
日本動物園水族館協会(JAZA)における水族館
日本動物園水族館協会(Japanese Association of Zoos and Aquariums 通称:JAZA)では、動物園や水族館には種の保存、教育・環境教育、調査・研究、レクリエーションの4つの役割があるとしています。
従来の博物館法による博物館の役割に加えて、生きている動物を飼育する動物園や水族館だからこそ成せる「種の保存(希少動物の保護)」が追加されています。
まさに生きた動物を展示する動物園や水族館が博物館だと解釈されているのです(4つの役割-動物園と水族館-日本動物園水族館協会)。
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