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自然を感じることの大切さ

カーソンはこのセンス・オブ・ワンダーを感じることが重要であると言います。

大人になるにつれて失われつつあるこの感性が、自然の力の源泉から遠ざかること、人工物に夢中になることに対するかわらぬ解毒剤となるというのです。また、カーソンは「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないとも述べています。

私なりに解釈するなら、机に向かって知識として生きものを学ぶよりも、直接自然や生き物に触れて感性(センス・オブ・ワンダー)を育むことの方が、自然や生き物を大切にしたいという想いを芽生えさせ、やがて知識も身についていくだろう、ということではないでしょうか。

シュノーケリングで自然観察をする筆者(提供:みのり)

私が水族館に勤めていた時の出来事です。

タッチプールでヒトデすら触れなかった女の子がいました。しかし、私がヒトデを手に取って面白がって一緒に触ることで、最後はその子一人で自らヒトデを触ることが出来るようになりました。

私は一度もそのヒトデの名前を述べておらず、解説もしていませんが、この出来事はまさにその子の中でセンス・オブ・ワンダーが開花した瞬間だったのではないかと、強く記憶に残っています。

センス・オブ・ワンダーを思い出して

筆者はセンス・オブ・ワンダーを育む活動や解説がしたいと思い、いまでもその言葉を大切に生きています。皆さんも、ふとした時にカーソンの残したセンス・オブ・ワンダーを思い出し、色んな自然や生き物たちに向き合ってみてください。

そうした感性のひとつひとつが、やがて大きなものを生み出すきっかけとなると、私は信じています。

(サカナトライター:みのり)

参考文献

センス・オブ・ワンダー レイチェル・カーソン 著 上遠恵子 訳 新潮社 1996年
レイチェル・カーソンのプロフィール -レイチェルカーソン日本協会

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みのり

みのり

センス・オブ・ワンダーを大切に

北里大学海洋生命科学部卒・元水族館飼育員。魚類・クラゲはもちろん、イルカの飼育も担当。非常に多趣味で、生き物観察やフィールドワークはもちろん、映画や読書、ゲームも好き。多趣味ゆえの独自の視点、飼育員視点を交えつつ、水生生物やそれを取り巻く自然環境、文化、水族館の魅力を発信していきます。

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