暖かい海に生息するハナダイの仲間「スミレナガハナダイ」は、性別や光の条件により体色が異なることで知られています。また、その繫殖システムにはちょっと変わった特徴も。
この記事では、スミレナガハナダイの特徴や生態について解説します。
スミレナガハナダイってどんな魚?
スズキ目ハタ科に分類されるスミレナガハナダイは、インド洋から西太平洋にかけて広く分布する魚です。普段は、主にサンゴ礁や沿岸の岩礁域に生息しています。

スミレナガハナダイのオス(提供:PhotoAC)
スミレナガハナダイの成魚の体長は、通常10~15センチ程度。群れで生活する習性を持っており、複数匹がまとまって行動することが多いといわれています。
オスとメスで体色が異なる
スミレナガハナダイは、オスとメスで体色が異なる魚です。淡いピンクがかったオレンジ色を基調とした地味な体色をもつメスに対し、オスの体は目にあざやかな紫色やピンク色をしています。

スミレナガハナダイのメス(提供:PhotoAC)
もともと明るい体色をもつ雄ですが、メスに求愛をする際には、よりはなやかな色合いに変化することでも知られています。
求愛時のスミレナガハナダイは、体表のピンク色の部分が大幅に増え、まるで内側から発光しているようにみえる非常に美しい姿なのだそう。メスへのアピールとして、繫殖期に限定してみられるこの体色は、いわゆる婚姻色とよばれています。
スミレナガハナダイの繁殖システム
雄のもつあざやかな体色が印象的なスミレナガハナダイですが、一方でその繁殖システムも注目されているようです。
群れで行動する習性をもつスミレナガハナダイは、通常、4~5匹ほどのメスに対してオスが1匹というハーレムを作っており、このハーレム内で繁殖を行います。ただ、この集団から何らかの理由で雄がいなくなってしまった場合、残されたメスのうちで最も大型な個体が雄に性転換をします。

スミレナガハナダイのオス(提供:PhotoAC)
スミレナガハナダイはオスとメスの見た目が全く違うため、性転換の過程にある個体は一目でわかるのだそう。
オスから雄に移り変わる時期の体色は期間限定のものです。偶然観察できた人はラッキーかも?
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