クルマダイの近縁種
クルマダイ属の魚は世界(インド~西太平洋、東太平洋、西大西洋)から5種が知られており、日本近海においてはそのうち3種が知られています。
クルマダイに最もよく似ているのがミナミクルマダイで、背鰭、臀鰭、尾鰭のそれぞれの軟条部後縁が黒くなること、クルマダイよりも鱗の小棘が小さいことなどによりクルマダイとは容易に識別できます。
分布域は南日本太平洋岸、インド~西太平洋です。沖縄にも見られ、八重山諸島ではまれに漁獲されるようです。
日本産のもう1種オキナワクルマダイはクルマダイと異なり細かい細い横帯が多数入ること、ミナミクルマダイと同じように背鰭・臀鰭・尾鰭のそれぞれの軟条部後縁が黒くなるのが特徴です。
その名の通り日本近海では琉球列島などに多く、琉球列島では食用とされています。このほか東太平洋にビックリクルマダイが、西大西洋にはアメリカクルマダイという種がそれぞれ分布しています。
クルマダイを食べる
クルマダイはやや深い海に生息しており、底曳網や釣りでしばしば漁獲され、市場にも出ます。やはりキントキダイ科の魚類ですので味は非常に美味、刺身や塩焼きなどで食されます。
長崎県、高知県、沖縄県などでは近縁のオキナワクルマダイやミナミクルマダイなども水揚げされることもあり、それらも食用魚として扱われています。
魚屋さんで販売されていることは少ないのですが、それでも市場などで販売されていることもあり、購入する機会がありましたらぜひ食べてみて欲しいと思います。
(サカナトライター:椎名まさと)
参考文献
尼岡邦夫・仲谷一宏・矢部 衞.2020. 北海道の魚類 全種図鑑.北海道新聞社,札幌.590pp.
上野輝彌・松浦啓一・藤井英一編.1983. スリナム・ギアナ沖の魚類.海洋水産資源開発センター,東京.519pp.
榮川省造. 1982. 新釈 魚名考.青銅企画出版.箕面.607pp.
下瀬 環.2021. 沖縄さかな図鑑.沖縄タイムス社,那覇.208pp.
仲谷一宏・矢部 衛・今村 央・M. Romero Camarena・吉田光徳編.2009.ペルー海域の深海魚類図鑑.社団法人日本トロール底魚協会・ペルー国立海洋研究所,東京.355pp.
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