アナゴ、シイラ、スズキ、夏に旬を迎える魚はたくさんいますが、コチという一風変わった魚も夏が旬と言われています。
あまり耳慣れない魚ですが、一体どのような魚なのでしょうか?
コチとは
コチは主に砂地に生息する底魚で平らな体が特徴です。スズキ目カサゴ亜目コチ科に分類され、カサゴやホウボウの親戚とも言えます。
コチの仲間の代表種としてはマゴチ、イネゴチ、ワニゴチが知られており、いずれも食用になる魚たちです。
特にマゴチは食用として広く流通している他、釣りのターゲットとしても非常に人気が高く、ヒラメと共にフラットフィッシュと呼ばれています。
マゴチが生息地域の砂浜では本種を狙う釣り人が数多く見られ、ルアーで本種を釣る人も少なくありません。
コチの見分け方
コチの仲間(コチ科)は砂地に生息するため、背面が褐色の種が多く、一見すると大きな違いが見られないグループです。
加えて、近縁種の標準和名が別名と用いられることもあることから近縁種同士の混同が多く、魚屋だけではなくネット上でも混乱が見られます。
マゴチ、ワニゴチ、イネゴチ、トカゲゴチの4種の違い
特に多いのがマゴチ、ワニゴチ、イネゴチ、トカゲゴチの間違いです。この4種は色がよく似るものの、眼の光彩皮膜の構造が異なり、マゴチとイネゴチは単純な形であるのに対してトカゲゴチとワニゴチでは複雑な形をしています。
マゴチはイネゴチよりも明らかに眼が小さく、吻もあまり長くありません。そのため、光彩皮膜を見なくとも他の3種とは区別することができます。
トカゲゴチとワニゴチはともにトカゲゴチ属に分類され、光彩皮膜が複雑になるという共通点を持ちますが、ワニゴチの方が面長で大型になるといった特徴から区別することが可能です。
なお、イネゴチとワニゴチは光彩皮膜により明瞭に区別することができますが、一部の地域ではイネゴチをワニゴチと呼ぶので注意しましょう。
メゴチとネズッポ
コチを語る上で欠かせないのがメゴチの存在です。
メゴチというと多くの人々はおちょぼ口の魚を思い浮かべると思いますが、標準和名でいうメゴチはコチ科に分類されます。それにも関わらず、ネズミゴチの別名として広く認知されていることから、本家メゴチの存在感が薄れているのです。
ネズミゴチとメゴチの区別は簡単で、ひとつの方法として鱗の有無により区別することができます。
コチと言えばマゴチのこと
日本に24種程いるコチ科ですが、大型になる種は食用になります。特にマゴチは食用として人気が高く、単に「コチ」と言えば本種を指すことがほとんどです。
主に刺し網、底引き網で漁獲され、夏に旬を迎えたマゴチ、いわゆる「照りゴチ」は絶品。刺身はもちろんのこと暑い季節には「洗い」で食べるのも良いでしょう。他にも岡山県の「コチめし」が郷土料理として有名で茹でたコチと野菜、茹で汁を熱々のままご飯にかけた素朴な料理です。
時には見た目が怖いとも言われるコチですが、夏のコチは絶品です。コチの白く透き通るような身は夏の暑さを忘れさせてくれること間違いありません。
(サカナト編集部)