「なぜ貝殻の上部に穴を開けるのか」は諸説あり
なぜ、だいたい貝殻の上部に穴を開けるのかについては、アサリなどの獲物を固定して穴を開けやすいのが上部だと言う説や、急所を狙う説等、諸説あるようです(日本貝類学会[2023]、みんなが知りたいシリーズ19 貝の疑問50、成山堂書店/佐藤武宏[2008]、穴あき貝殻の穴の不思議~穴の位置はなぜ同じ?~、神奈川県立 生命の星・地球博物館 自然科学のとびら第14巻1号)。
ちなみに、二枚貝に穴を開けて食べる貝として、アカニシを初めとするアッキガイ科の貝も挙げられます。ただ、アカニシは殻の側面に開けることが多く、殻の表面に開けたときも、殻の中央に開けることが多いようです(三倉健吾、佐藤慎一[2021]、肉食性巻貝類アカニシとツメタガイの捕食行動と捕食痕の比較)。
ツメタガイの卵塊は茶碗のような形
ツメタガイは卵を産むときも、まるで“職人技”を思わせる習性を持っています。砂と卵を自分の粘液で混ぜ合わせて固い板状に成形し、自分の殻を使ってまるで伏せたお茶碗のような形に作り上げていくのです。そのため「砂茶碗」と呼ばれています。
タマガイ科の貝はこういった茶碗型の卵塊を作ります。種類によって、少しずつ形や大きさが違います。
さて、子どもの頃、海で思いがけず掴んでいたあのツメタガイ。普段、昼のツメタガイは砂の中に潜っていることが多いですが、なぜあそこにいたのか。
どこかから流されてきたのか、何よりもどうやって、波の中であの大きな貝を掴んでしまったのか。未だに真相は謎のままです。
(サカナトライター:atelier*zephyr)
2