岡山県には一級河川が3本あり、その支流も数多くあります。今回紹介する砂川は赤磐市を水源とし百間川まで繋がる旭川水系の川です。
7月下旬、赤磐市で開催された「砂川生きもの探検隊」に参加し、砂川に生息する魚を捕獲したので、その結果を紹介します。
砂川に生息する魚たちは5年前に比べてどう変化したのでしょうか?
砂川における2024年と2019年の捕獲魚種
今回捕獲された魚と2019年に捕獲された魚を、以下の表で比較してみました。どちらも9種類で同じでした。
カネヒラはタイミングで取れない場合もあるため、在来種についてはあまり変わらないと考えられました。
しかし、5年前には確認されていなかった特定外来種が2種類も見つかったのです。
砂川で獲れた2種類の特定外来種
2024年7月に砂川で見つかった特定外来種はオオクチバスとブルーギルです。
大きな口が特徴「オオクチバス」
オオクチバスはサンフィッシュ科の魚で、肉食性の淡水魚です。大正時代に日本へ持ち込まれ、ブラックバスという通称で呼ばれています。
体長30〜40センチ程度の大きな口が特徴で、身体の側面には不規則な斑紋があります。
在来種の魚や水生昆虫などを貪食し、非常に繁殖力が強いため、日本各地で生態系に大きな影響を与えています。
なお、白身の魚で食べるとあっさりしていて美味しいので、フライや塩焼きで食べるのがおすすめです。
繁殖力旺盛な魚「ブルーギル」
砂川で見つかったもうひとつの特定外来種はブルーギルです。
ブルーギルもオオクチバスと同じくサンフィッシュ科の魚で、1960年代に日本に持ち込まれました。体長は20センチくらいで、エラブタが紺色で丸いことや10本程度の縞模様があることなどが特徴になります。
肉食性ですが、時には水草も食べることもある非常に繁殖力旺盛な魚です。在来種の魚や水生昆虫、水生動物を食べ、大きく生態系に影響を与えます。
ブルーギルだらけになる池もあり、非常にやっかいな魚です。
特定外来種とは?
環境省によると、特定外来生物(特定外来種)の定義は以下の通りです。
「特定外来生物とは、外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。指定された生物の取り扱いについては、輸入、放出、飼養等、譲渡し等の禁止といった厳しい規制がかかります。特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれます」(日本の外来種対策「外来生物法」-環境省)
つまり、生態系に大きく影響を及ぼす外来生物を特定外種と指定し、外来生物法で厳しく扱いを制限するということです。
特定外来生物に指定されている魚の場合、飼育すること、生きたまま運搬すること、野外へ放すこと(釣り場におけるキャッチ&リリースは対象外)について遵守が必須です。
なお、罰則は「個人であれば3年以下の懲役または300万円以下の罰金」、法人の場合は「1億円以下の罰金」が課せられます(日本の外来種対策「外来生物法」罰則について-環境省)。
豊かな川を残すためにできること
ドンコは愛知県・新潟県以西の本州、四国、九州に分布する淡水魚。石垣などを巣穴にしているため、近年の護岸のコンクリート化によって生息数が激減しています。また、ブルーギルのような特定外来種による卵や幼魚の捕食によっても大きく数を減らしており、対策が必要です。
動きが鈍いため捕獲されやすく、漢字表記で「鈍甲(どんこ)」と書きますが、愛嬌ある顔つきに癒される人も多いでしょう。こんなに可愛い魚が減っていく未来は考えたくないですよね。
在来種の魚を残すための保全活動とは
将来も豊かな川を残すには、「特定外来生物の完全除去」と「ゴミを捨てない」などの施策が必要です。
特定外来生物の完全除去はとても大変なので、誰もができることはSDGsの推進でしょう。「ゴミを捨てない」「ゴミが落ちていたら拾う」「川の清掃活動などのボランティア活動に参加する」などを実行するのが良いですね。
地元の川の清掃活動に子どもや家族と参加すれば、現状を知ることができるだけでなく、豊かな自然についての教育もできますよ。
あなたも在来種の魚を残すための保全活動に目を向けてみませんか?
(サカナトライター:額田善之)