広大な海の中では様々な生存戦略が繰り広げられています。
「擬態」はその典型的な例と言えるでしょう。
一口に擬態と言ってもいくつかの種類に分類され、特に「ベイツ型擬態」は非常に変わった擬態として知られています。
擬態とは
擬態とは生物が姿を周りの環境や物に似せる生存戦略のひとつ。様々な種類があり、主に「自らを守る擬態」「被捕食者から身を潜める擬態」などがあります。
例えば、キンメダイやキチジなど深海に生息する魚に赤いを持つ種が多いのは、赤色が深海において保護色となる為です。これは水が赤い光をよく吸収することに関係しており、赤い体色は深場の生物の多くが獲得した形質となっています。
一方、浅海域では岩場や砂地に擬態する魚が多く生息しており、ヒラメやオニダルマオコゼはその代表と言えるでしょう。
有害な生物に姿を似せる「ベイツ型擬態」
これまでご紹介した擬態は、いずれも環境に擬態する魚たちでしたが、中には魚に他の生物に擬態する魚もいます。ベイツ型擬態は無害な生物が有害な生物に姿を似せることにより自らの身を守擬態方法です。
例えばカワハギ科に属するノコギリハギは有毒であるフグ科のシマキンチャクフグに色彩が酷似しています。これは自身を毒のあるシマキンチャクフグのように見せることで捕食者から身を守っていると考えられています。
ノコギリハギと同様にシマキンチャクフグに擬態する魚としてコクハンアラの幼魚が知られている他、有毒魚であるゴンズイに擬態したコロダイの幼魚、肉食魚であるハナビラウツボに擬態したシモフリタナバタウオが知られています。
ここまでは魚が魚に擬態する例でしたが、時に魚が異なる動物群に擬態することもあるようです。
ツバメウオ科に属するアカククリの幼魚は黒い体色にオレンジ色の縁取りがあることが特徴で、これが和名の由来にもなってます。この体色は有毒であるヒラムシの仲間に擬態していると考えられており、魚(脊椎動物)が異なる動物群(扁形動物)に擬態している例として有名です。
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