オウギガニの仲間はできるだけ食べないほうがよい
マツバガニは先述のように、オウギガニの仲間とされます。しかしこのオウギガニの仲間には、いくつか有名な毒化しやすい種が含まれており、特に奄美大島以南の琉球列島ではウモレオウギガニなどによる死亡例を含む中毒事例が多く知られています。ウモレオウギガニは比較的大きくなり、味噌汁にいれるのに適したサイズとも言え、中毒例が多いようです。
ほかにもスベスベマンジュウガニや、ツブヒラアシオウギガニなども毒があり、琉球列島やフィリピンなどで死亡例があるとされます。
またオウギガニの仲間は種も多く、「毒化しやすい(有毒)カニ」と「無毒のカニ」の見分けがつきにくいということもあり、1965年4月22日には奄美大島で行商人から購入した「瀬ガニ」を食べて2名が中毒した例もあります。これもウモレオウギガニとされています。
カニ中毒を防ぐ1番簡単な方法は「知らないカニ」を食べないことです。特にオウギガニの仲間は海底に潜むものをなんでも食べてしまい、毒化することが多いようです。マツバガニ以外のオウギガニの仲間(ケブカガニなども含む)は食べないように注意しましょう。
(サカナトライター:椎名まさと)
参考文献
青木淳一・奥谷喬司・松浦啓一編著(2002)、虫の名、貝の名、魚の名 和名にまつわる話題、東海大学出版会
橋本芳郎(1977)、魚介類の毒、学会出版センター
三宅貞祥(1983)、原色大型甲殻類図鑑(II)、保育社
野口玉雄(1996)、フグはなぜ毒をもつのか 海洋生物の不思議、日本放送出版協会
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