ウナギならぬタウナギという魚がいるのをご存知でしょうか?
タウナギは一見すると地味な魚に見えますが、実は変わった特徴を多く持った魚なのです。
この記事ではタウナギについてご紹介します。
タウナギとは
タウナギはタウナギ目タウナギ科に属する純淡水魚です。漢字では田鰻と書くほか、英語で Swamp-eel と呼ばれていることからも分かるように本種は池沼や水田に生息します。
本種の標準和名は「ウナギ」と付くものの、ウナギ目とは異なるグループであり、トゲウナギ科と近い魚です。また、本種は鱗、腹鰭、胸鰭を欠き、背鰭と臀鰭に鰭条がない鰭褶(きしゅう)といった特異的な形質を持つ魚でもあります。
世界のタウナギ科は20種以上が知られていますが、現在、日本のタウナギ科はタウナギのみで、国内では本州の一部地域及び琉球列島に分布。本州の個体は中国からの移入種とされている一方、琉球列島の個体群は本州の個体群と遺伝的に異なることから、在来種と考えられているようです。
沖縄県レッドデータブックでは絶滅危惧IA類に分類されます。原産地である中国ではタウナギを鱔魚と呼び、食用としてだけでなく薬用としても広く利用されています。
特異な生態を多く持つタウナギ
変わった形質を多く持つことで知られるタウナギは生態も変わった魚です。
タウナギは大きいもので80センチ程になると言われていますが、体長45センチ程でメスからオスへ性転換することが知られています。また、オスは繁殖期になると巣穴を作り、孵化した仔稚魚を口内保育するのです。
また、口内の粘膜を通して空気呼吸が可能な魚である他、他の淡水魚と比較して血液性状が濃厚であることから、厳しい環境下での生依存が可能だといいます。
農家からは害魚扱い?
タウナギは外来種であることに加え、農家からは害のある魚としても位置付けられています。
本種は泥や土に巣穴を掘る習性があり、田んぼのあぜにも穴を空けてしまうというのです。これにより水田の水を流出させてしまうといいます。
国内では食用にならず外来種として知られていますが、中国や台湾では食用として親しまれており、鱔魚意麵は台湾の名物としても知られています。
このように特異な形質、生態を多く持ったタウナギですが、国内では外来種であり食用としても扱われていません。一方、中国などでは食用として愛されており、タウナギを使ったソウルフードもあるのでした。
(サカナト編集部)
参考
(伊藤恵美・永田幸志・小田慶磨,2002,泰野市の水田で発見されたタウナギ.)
(佐伯 実香・北川 哲郎・久保喜計,2014,タウナギの特異的血液性状)