「シーラカンス」が1938年に南アフリカの海岸で発見されてから86年。
約3億6千万年前から生息し、恐竜とともに絶滅したと考えられていたため、その古代魚の発見は多くの人々に衝撃を与えました。
その後もアフリカやインドネシアで次々と捕獲されましたが、その多くは謎に包まれています。深海の研究を進める上でも大きな鍵を握るであろう、その“生きた化石”について紹介します。
シーラカンスの姿はまさに「生きた化石」
シーラカンスの大きさは体長が165〜170センチ、体重が75〜80キロ。実際に目撃したダイバーがその大きさに感嘆の声を漏らすほどの巨体です。
「ゴスミン鱗」と呼ばれる鎧のような鱗で覆われ、立派なヒレで歩くように泳ぎます。また、骨格のほとんどが軟骨であり肋骨が存在しないこと、浮袋の内部が脂肪で満たされていることも特筆すべき特徴です。
妊娠期間は5年、成熟まで約55年かかるそう。非常にゆったりとしたスピードで生きており、寿命は推定100年と言われています。
なんといっても、恐竜時代の終わりとともに絶滅したと思われたシーラカンスが、外敵に晒されることなく子孫を残し続けることができたのは大変な驚きですよね。それは長い時代を経ても、シーラカンスが生息する深海の環境が脅かされなかったことに起因すると言われています。
シーラカンスを見に行こう!
日本では生きたシーラカンスは発見されていませんが、静岡県の沼津港水族館「シーラカンス・ミュージアム」では内臓も含め丸ごと冷凍保存されたシーラカンスを見ることができます。
1981年に日本シーラカンス学術調査隊がコモロ諸島の地元漁師と協力して捕獲した2体の冷凍個体と、3体の剥製が展示されています(深海で生き続ける「生きる化石」シーラカンス 沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム)。
また、「アクアマリンふくしま」でもシーラカンスの標本が展示されているとのこと。実物を見られる機会は滅多にない為、大変希少価値のあるものなのです。
シーランスを知ろう
過酷な環境を生き抜いてきたとはいえ、現在でもシーラカンスは絶滅の危機に瀕しており、ワシントン条約によって国際取引が厳しく制限されています。
人間活動による海の水質環境、生物への悪影響が取り沙汰されている昨今ですが、シーランスを守るために私たちがまずできることはその生体を「知ること」。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター:いく)