骨ばった体つきと濁ったような体色を持つ海水魚「ケムシカジカ」の名前は、その外見が毛虫に似ていることにちなんでつけられたと言われています。
この記事では、ケムシカジカの特徴や生態について解説します。
「ケムシカジカ」ってどんな魚?
ケムシカジカは、北太平洋やベーリング海、日本などの冷たい海域に幅広く分布する海水魚。日本では主に北海道や東北地方に生息しており、普段は岩礁域やその周辺の砂泥域などに潜んでいることが多いです。
ケムシカジカは頭部がとても大きく、幅の広い体を持つ魚です。
体表は硬い骨質の突起で覆われており、多くの魚が持つ鱗はほとんどありません。砂や泥の色に近い灰色や茶色の体色をしていますが、生息環境にあわせて色を変えることもあります。
ケムシカジカの名前の由来は?
ケムシカジカは、体表に無数の小さなトゲがあります。また、体表はイボのような突起に覆われてざらついており、頭部の後ろ側にもこぶのようなゴツゴツした隆起が見られます。
細く小さなトゲが外側に鋭く突き出している様子がまるで毛虫のように見えるため、「ケムシカジカ」という名前が付けられたと言われています。
食用としてのケムシカジカ
骨ばった体つきや体表を覆った細かいトゲや濁ったような体色から、一見あまり美味しそうには見えないケムシカジカ。さらに「ケムシ」と聞くと、つい苦手意識を覚える人も多いかもしれませんね。
しかし、ケムシカジカは食べてみると非常に美味しい魚でもあります。特に北海道では、ケムシカジカを使用した郷土料理が長きにわたり親しまれています。
身は淡泊でありながらも独特の旨味
ケムシカジカの肉は白く、淡泊でありながらも適度な脂肪を含んでいるため、独特の旨味があるのが特徴。新鮮なケムシカジカは、刺身として楽しむことができます。醤油やポン酢などの調味料のみでいただくと、カジカ特有のシンプルな旨みを堪能できると評判です。
また、身の他にも、肝や胃袋、卵巣など多くの部位が料理に使われています。三平汁や味噌汁、煮付けや鍋料理、ホイル焼きなど、調理方法により異なる風味が味わえるのだそう。機会があったら、ぜひ食べてみてくださいね。
(サカナトライター:糸野旬)