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安易に持ち帰るのはやめよう!

スズメダイの仲間の中でもオヤビッチャ属の魚は容易に飼育でき、しかも色彩も綺麗だったりするのでついお持ち帰りしたくなるところですが、いずれの種も性格はかなりきつく、水槽では持て余すことが多いです。

90センチ水槽で飼育しているロクセンスズメダイ(撮影:椎名まさと)

ほかの魚との混泳にはロクセンスズメダイのように(比較的)温和な魚を選び、最低でもはば60センチ(できれば90センチ以上)の水槽で混泳させるとよいでしょう。ただカクレクマノミなどの比較的気が強い魚ならば混泳はしやすいですが、臆病な小魚(ハタタテハゼなど)はびびって出てこなくなるため、組み合わせてはいけません。

シマスズメダイやシチセンスズメダイ、イソスズメダイといった種は、幼魚はまだそうでもないものの、成魚は性格がかなりきつくなるために飼育は単独、もしくはかなり強い魚と一緒でなければなりません。

さらに水槽もかなり大きいものが必要になるので、初心者の方には「持ち帰るのはやめよう」と呼びかけるしかありません。なお餌もよく食べ飼育自体は容易ですが冬の低水温には注意が必要です。

タイドプールで見るだけがいいかも

オヤビッチャ属の稚魚はかわいいし、そこそこきれいなため、「磯のアイドル」といえます。

しかしながら成長するにつれその性格はきつくなるため、たとえ死滅回遊魚であっても、磯で見るだけにしておいたほうがアクアリストにも、実際に家の水槽で飼育している魚にも、そしてオヤビッチャ属の稚魚にとっても幸せといえるかもしれません。

水深10センチほどの潮だまりで発見したオヤビッチャ属の稚魚。高知県(撮影:椎名まさと)

もちろんオヤビッチャ属の魚に限らず、磯で採集した魚を海に放流することは慎むべきです。

たとえ同じ場所で採集した魚であっても、寄生虫の問題や病原菌の問題などが考えられますし、道徳上もよくないからです。みなさんも魚は最後まで飼育してあげましょう。

(サカナトライター:椎名まさと)

参考文献

榮川省造(1982)、新釈 魚名考、青銅企画出版

加藤昌一(2011)、ネイチャーウォッチングガイドブック スズメダイ ~ひと目で特徴がわかる図解付き~.誠文堂新光社

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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