福岡のスタートアップ企業「オーシャンリぺア」は、9月1日から“未利用魚”とも言われる魚を活用したドッグフードの開発、販売を開始しました。
シカやイノシシなどの肉をペットフード用に加工した商品はすでにありますが、未利用魚を活用するケースは珍しい事例です。いったいどのような魚が活用されているのでしょうか。
商品開発のきっかけ
長崎県周辺の海ではイスズミやアイゴといった魚が海藻を食べ尽くして、藻場が焼け野原のようになり、サザエやアワビといった市場でも高値がつきやすい魚介類の収穫が少なくなっていることが問題になっていました。
このような状態のことを磯焼けといいます。
そこで、イスズミやアイゴをペットフードに利用して、藻場を守れないかと考えて開発を進めてきたそう(「高タンパク・低脂質のドッグフード」…原料は「食害魚」 環境改善や漁師の収入アップにも)。
磯焼けの原因
磯焼けとは、「浅海の岩礁・転石域において、海藻の群落(藻場)が季節的消長や多少の 経年変化の範囲を超えて著しく衰退または消失して貧植生状態となる現象」です(引用:水産庁 index-36.pdf (maff.go.jp))。
原因は魚だけではなく、ウニの食害、海水温の上昇など気候変動による影響も磯焼けの要因になっています。
イスズミについて
では、ペットフードに加工される魚の一種「イスズミ」とはどんな魚なのでしょうか。
この魚はスズキ目イスズミ科に属し、本州中部以南の浅い岩礁域に生息しています。大きいものは70センチまで成長する大型魚。身は磯臭が強いことが多く、一般市場にはほぼ出回りません。
磯釣りをしているアングラーには「外道」として扱われることも。大型なので引きが相当強く駆け引きは楽しめますが、釣り上げられるとショックで排泄をするので一部の釣り人からは嫌われているようです。
完成したペットフードの特徴
イスズミやアイゴの肉質は高タンパク・低糖質でビタミンDも豊富な白身魚。
鶏肉や牛肉などを主原料にした通常のドッグフードに比べ、脂質が5~8%低いのが特徴とのこと。愛犬の健康にも磯焼けを減らすためにも選択肢のひとつになりそうですね。
(サカナト編集部)