滋賀県草津市にある「滋賀県立琵琶湖博物館」は9月14日、7年ぶりとなるアユモドキの展示を開始しました。
開催場所は琵琶湖博物館の水族展示室「よみがえれ!日本の淡水魚」で、期間は12月24日までとなっています。
アユモドキは絶滅危惧種
アユモドキはコイ目アユモドキ科に属する日本に固有の淡水魚で、見た目がアユに似ることからこのような名前が付きました。国内のアユモドキ科の魚は本種のみが知られています。
琵琶湖・淀川水系、岡山県の数河川に生息するアユモドキですが、近年は生息環境・産卵場所の悪化により個体数が激減。現在、野生個体は京都府亀岡市と岡山県岡山市のみでしか見られない非常に珍しい魚です。
また、アユモドキは環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類(ごく近い将来における野生での絶滅の可能性が極めて高いもの)に指定されているほか、1977年に「国の天然記念物」、2004年には「種の保存法」に基づき「国内希少野生動植物種」に指定。これにより原則、採捕・採集・譲渡・飼育が禁止され、採捕の際には環境大臣の許可が必要になったのです。
前身「琵琶湖文化館」から40年にわたり系統保存
琵琶湖博物館では、水族展示室の前身となる「琵琶湖文化館」から40年にわたり京都府南丹市八木町の集団の系統保存を行っていました(現在、野生絶滅)。
2007年を最後に繁殖が途絶え、一時、メスの個体がいなくなる事態に陥ったものの、今年、亀岡市から採集したメスの個体と琵琶湖博物館のオスの個体をかけあわせることに成功。人工養殖の成功は実に7年ぶりだそうです。
今回、展示される生体はこの時に生まれた個体であり、アユモドキの幼魚の生体が見れる貴重な機会となっています。
展示では生体の他、琵琶湖で最後に採集されたアユモドキの標本、アユモドキの保護についての解説が展示されます。
※2024年9月17日現在の情報です。
(サカナト編集部)