ハタハタは主に日本海側で親しまれていて、秋田県の県魚でもある魚です。
2023年冬、秋田ではハタハタがよく穫れるシーズンが始まりましたが、その漁獲量が減少しているそうです。
秋田県で親しまれている「ハタハタ」
秋田県で親しまれている海水魚「ハタハタ」。県外ではあまりなじみのない魚ですが、一体どのような魚なのでしょうか。
ハタハタは深海魚
ハタハタはカミナリウオとも呼ばれる魚で、20~30センチほどになる深海魚です。海が荒れて雷が鳴ると獲れるようになることから、激しい雷を意味する古語、霹靂神(はたたがみ)にちなんで名づけられています。冬の産卵期になると秋田沿岸にやってきます。
沿岸で行われる漁の漁期はハタハタが秋田沿岸にやってくる11月末から12月に限られており、この漁を「季節ハタハタ漁」といいます。昭和40年代には2万トンを超える漁獲があったというデータも。
民謡「秋田音頭」でも唄われており、古くから県民生活に根付いていることがわかります。
ハタハタを使った郷土料理
秋田にはハタハタを使った郷土料理がたくさんあります。
秋田の保存食といえばハタハタ寿司。魚を発酵させる「なれずし」の一種です。麹を混ぜたご飯と、にんじんをはじめとした野菜、昆布などを1カ月ほど漬けてつくられます。一匹のまま漬けるまるずし、切り身にして漬ける切り寿司があります。
さらに、秋田でつくられている魚醬「しょっつる」にも使われています。昆布で出汁をとり、しょっつるで味を調え、そこにハタハタを入れたしょっつる鍋という郷土料理もあります。
メスが持つ卵も「ブリコ」と呼ばれ親しまれています。醤油漬けにしたり、ハタハタの身と一緒に塩焼き・煮付けにしたりと、様々な方法で食べられています。
秋田ハタハタが低迷
秋田で親しまれているハタハタですが、近年漁獲量が低迷しており、特に今年の漁獲量は、例年に比べ大幅に減少しているそうです。
本記事執筆時の2023年漁期(2023年9月~2024年6月)に行われる沖合底引き網漁での2023年10日までの水揚げ量は10トンにとどまっています(沖合ハタハタ、過去最低の10トン 10日現在の漁獲量-秋田魅新聞)。これは前年同期比の2割程度、記録が残る2000年以降で過去最低の数字で、大幅に減少していることがわかります。沿岸で行われる季節ハタハタ漁は今月の10日に初漁を迎えましたが、こちらも前年の5.9トンに比べ、4%の246キロでとどまっています。
漁獲量の低迷の原因ははっきりと解明されていませんが、海水温が高く、孵化した稚魚の生存率が低いことや、ハタハタの産卵床である藻場が減っていることが一因であるとみられています。
秋田県では、漁業調整規則によって規定サイズ以下のハタハタの採捕を禁じる、といった規制を設けて資源管理をしたり、ハタハタが孵化しやすい環境を整えたりと、ハタハタを守るための取り組みをしています。伝統を絶やさずに引き継いでいくため、まずは文化や伝統を学び、取り組みを応援していくことが大切です。
(サカナト編集部)