魚醤は魚と塩を主原料とした調味料の1種で、アジア圏で広く愛されています。
日本ではハタハタを使った「しょっつる」が有名ですが、近年はさまざまな魚を使った魚醬が開発されているのをご存知でしょうか?
2024年9月、あいち産業科学技術センター食品工業技術センターは蒲郡市で深海魚の加工を手掛ける水産加工会社「喜栄丸カベヤ水産加工」と共同でキンメダイの魚醤を開発しました。
古くから水産業が盛んな蒲郡市 三河湾で漁獲される深海魚
愛知県の南部に位置する蒲郡市は三河湾に面しており、古くから水産業が盛んな地域として知られています。
特に沖合底曳網漁は愛知県内でも蒲郡市に所属する漁船のみが行っている漁業であり、ここでは愛知県で水揚げされる深海魚の大部分を漁獲しているのです。
主な特産品としてメヒカリやキンメダイ、ニギスなどが知られており、これら深海魚を扱う小売店や加工業者も少なくありません。
蒲郡市で水産加工業を営む「喜栄丸カベヤ水産加工」は地元で獲れた深海魚を使った加工品を製造しており、これまでにメヒカリを使った漁醤「深海ギョの魚醤」、ニギスのエキスをたっぷりと使った「深海ギョのふりかけ(3種)」の開発に成功しています。
キンメダイの漁獲量が増えている?
多種多様な深海魚が水揚げされる蒲郡市ですが、近年は環境変化によりキンメダイの漁獲量が増加しているようです。一方、20センチ以下の小型キンメダイの有効活用が課題として挙げられていました。
これについて「喜栄丸カベヤ水産加工」から「あいち産業科学技術センター食品工業技術センター」へ相談があり、共同で小型のキンメダイを使った魚醤開発がスタートしたといいます。
キンメダイを使った魚醤開発は愛知県では初、全国では三番目の取り組みでした。
キンメダイを使った魚醤
今回開発されたキンメダイを使った魚醤「深海ギョ漁醤 キンメダイまるごと」は、熟成時の温度コントロールにより従来よりも製造時間を短くすることに成功。
醤油のうまみの指標となる全窒素量は、メヒカリを原料にした従来の「深海ギョ魚醬」よりも高いことが分かっています。また、メヒカリの魚醤と同様に色合いが淡い色をしているため、食材の色を生かした料理にぴったりだそうです。
「深海ギョ魚醬 キンメダイまるごと」は10月12日より、蒲郡市の「竹島水族館」にて限定50本(70ml 950円)が販売される予定です。
キンメダイを使った贅沢な魚醤を味わってみてはいかがでしょうか?
※2024年10月11日現在の情報です
(サカナト編集部)