本州ではあまり聞くことのないデベラという言葉。外国語のような不思議な響きですが、日本の郷土料理です。一体、デベラとはどのような料理なのでしょうか。
デベラとはヒラメの天日干し! 由来はその形から
デベラとは、タマガンゾウビラメを天日干しにしたものです。独特の風味と、香ばしい香りで広島の人々に親しまれています。
デベラという言葉はタマガンゾウビラメ自体を指すこともあります。デビラとも呼ばれ、手のひらを広げたような形をしていることから「手平」とした説と、「デメヒラメ」という呼び方がなまってデベラとした説があります。
デベラは、鱗と内臓を除いて海水で洗い、丸竹や荒縄に括って、風通しのいい場所で3~5日潮風にあてて乾燥させるとでき上がります。冬の冷たい海水や風がデベラ作りのポイントです。軒先や港のそばでヒラメを干している風景は、瀬戸内にある広島の冬の風物詩ともいわれています。
木槌で叩いて食べるのが特徴 アレンジも様々
デベラは、食べる前に木槌で叩き、身をほぐしてから七輪やストーブなどで炙って食べます。叩くことによって、身が骨から剥がれやすくなります。
スルメやエイヒレと同じように、干した身を酒の肴として醤油やマヨネーズをつける食べ方が主流です。
しかし、それらと少し違うのは、普通の料理としても扱われるということです。例えば、デベラを使ったデベラ飯は広島のソウルフードとして親しまれています。デベラ飯は、デベラをお米と一緒に食べる料理です。身をほぐしたデベラとお米を一緒に炊き込んだり、醬油ダレに浸けたデベラを炊き立てのご飯に混ぜて蒸したりと、いくつかの食べ方があるようです。〆には出汁を注ぎ、デベラ茶漬けにするのもおすすめです。
また、そのままから揚げやてんぷらにして食べることもあります。干物を揚げるというのは珍しいですが、食感も良く、甘みが増して美味しいのだとか。確かに、ご飯にもお酒にも合いそうですね。
ふぐのひれ酒のように、軽く炙ったデベラに熱燗を注いだデベラ酒では、デベラを酒の肴としてだけでなく、お酒そのものとして嗜むこともできます。広島県のなかでも特に尾道でよく楽しまれているようで、現地の居酒屋でも提供されています。ふぐのひれ酒より甘みがあり、癖がある味わいなのだとか。
広島に行った際にはぜひ楽しみたい郷土料理デベラ。アレンジした料理も多く、地域の人たちに愛されていることがよくわかります。ぜひ自分の好きな食べ方を探してみてください!
(サカナト編集部)