沖縄本島や周辺の一部離島に生息する固有種「琉球メダカ」。正式にはミナミメダカの琉球型とされ、かつては身近な存在だったそう。
環境省のレッドリストでは絶滅危惧II類に指定され、沖縄ではさらに絶滅のおそれが高い絶滅危惧I類に指定されています。筆者自身も、地元の年配の方から「昔はそこら中にいた」と聞いて初めて存在を知り、調べてみて驚きました。
他の日本固有のメダカ
日本のメダカの在来種には、北日本のキタノメダカと、南日本のミナミメダカがあり、いずれも絶滅危惧種に指定。ミナミメダカは地域ごとに細かく分類され、琉球型のほか「東日本型」「瀬戸内型」「北部九州型」など9タイプに分かれています。これらはすべて同様の危機に直面しています。
琉球型のミナミメダカは、沖縄本島、渡嘉敷島、久米島、伊平屋島に生息しています。では、なぜ琉球型のミナミメダカは絶滅危惧種に指定されたのでしょうか?
土地開発・水質汚染による環境変化
絶滅の主な原因は2つで、ひとつは環境の変化です。
琉球メダカは川や水田など小さな淡水域にしか生息できませんが、1970年代以降の土地開発や水田のサトウキビ畑への転換、コンクリート護岸の増加などにより、徐々に生息地を失いました。

また、メダカがすめないほど汚染された川も、同様にメダカの生息地を狭めていきました。
近年では、地球温暖化の影響で水温の上昇なども影響してくる可能性があります。琉球メダカは沖縄の暑い気候にも耐えうる個体ではありますが、近年の暑さだと心配です。
外来種が入ってきた
もうひとつは外来種の影響です。1960年代に蚊の駆除目的で導入されたカダヤシが爆発的に繁殖し、メダカの生存を脅かしました。
その後、1970年代頃から愛玩目的で飼育されていたグッピーの放流により、カダヤシも追いやられていきます。

さらに近年では、外来種だけでなく同じ在来種でも、異なる地域型やヒメダカなどと交雑する「遺伝子汚染」が進行し、純粋な琉球メダカの遺伝子が失われつつあります。
なぜ販売されているのか
これほど絶滅の危機に瀕している琉球型のミナミメダカですが、現在も販売がされています。実は法律上、過去に採集され繁殖した個体の販売は規制されていないのです。
ですから、「琉球メダカ」で調べると販売している人が多数確認できます。ただし、採集地の記載がない場合などは違法採集の可能性もあるため注意が必要です。
現在、地域の保存会や愛好家によって、琉球メダカを守る活動が続けられています。
もし、あなたの地域でも昔見かけたメダカを今見なくなっていたら、それは絶滅の危機の兆しかもしれません。一度立ち止まって、その小さな命に目を向けてみませんか。
(サカナトライター:美琉)
参考記事
政府広報オンラインーか希少な野生生物を守る「種の保存法」2025年7月19日参照
琉球大学-カダヤシはグッピーに交尾され駆逐された ―グッピーを使えば侵略種カダヤシを駆除できる―2025年7月19日参照
琉球新報-沖縄メダカ、交雑進む 県外産放流で「遺伝子汚染」琉大・今井准教授
絶滅の危機にあるミナミメダカの教材化と 教員研修などを通した普及・啓発 未来の沖縄の生物多様性を保全する役割を担う教師と児童生徒のために