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シマガツオ・マナガツオ・イケカツオ 実は全て「カツオ」ではない?

日本の魚には学名と別に標準和名と呼ばれる日本名が与えられます。日本語の名前を付けることにより、種の特徴が分かりやすくなると同時に混乱を招く標準和名も少なくありません。

今回は名前に“カツオ”と付くのにカツオの仲間じゃない、ややこしい魚たちをご紹介します。

名前の由来は不明「イケカツオ」

イケカツオ(提供:PhotoAC)

イケカツオは銀色で体が強く側偏した海水魚です。本種は名前にカツオと付くもののアジ科イケカツオ属の魚であり、アジ科では珍しく背びれの棘に毒を持つと言われています。

2024年3月現在、日本のイケカツオ属はイケカツオ、ミナミイケカツオ、オオクチイケカツオ、アキイロイケカツオの4種知られ、アキイロイケカツオは2023年3月に日本初記録種として命名されたばかりの魚です。

いずれも、南方の沿岸部を中心に生息し小規模ながら食用として流通があります。また大型個体は強い引きをすることから釣りの対象魚としての人気が高く、ルアーフィッシングで狙う人も少なくありません。海外ではクイーンフィッシュの愛称で親しまれており、食用としてはもちろんのことゲームフィッシングの対象魚としても人気の高い魚です。

なぜイケカツオ属の魚たちはアジ科にもかかわらずカツオの名が付いたのかは不明とされています。もしかすると銀色の体がカツオを彷彿とさせるからかもしれませんね。しかし、カツオというよりもサワラに似ているように見えるのは私だけでしょうか。

マイナーだけど超高級魚「マナガツオ」

マナガツオ科の魚(提供:PhotoAC)

マナガツオは中華料理に欠かせない食材で、国内だと西日本を中心に人気の高い超高級魚です。

本種はスズキ目・イボダイ亜目・マナガツオ科に分類される魚で、身近な仲間にイボダイがいます。脂のノリがよくクセのない味わいは唯一無二の食味であり、刺身はもちろんのこと煮付け、焼き物、など様々な料理で楽しむことができます。

日本では4種のマナガツオ科が記録されていますが、主に漁獲されるのはマナガツオ。底引き網で漁獲されるものの漁獲量は多くありません。産地である西日本での流通が多い魚です。

マナガツオは瀬戸内海での呼び名が由来とされ、カツオが獲れない瀬戸内海でマナガツオをカツオに見立てたという説があります。また岡山県でカツオというとマナガツオのことであり、岡山県ではプライドフィッシュにも選定される程メジャーな魚です。

深海の珍魚「シマガツオ」

シマガツオはスズキ目・シマガツオ科に分類される魚で、日本産シマガツオ科は沖合の深海を中心に10種が知られています。いずれの種も黒い体色に加えて鱗が硬いことが特徴で、テツビンエチオピアなど変わった名前でも呼ばれます。シマガツオ科の中にはマンザイウオ、ベンテンウオという標準和名の魚もおり、面白い名前が多い分類群でもあります。

シマガツオ科の魚は主に底引き網、深場の釣りで漁獲される魚ですが、市場などでは珍魚扱いされることも少なくありません。価格は地域によってまちまちですが、黒い体色とは対照的に綺麗な白身で、ブリを彷彿とさせる風味があり、知る人ぞ知る美味な魚でもあります。また大型魚の釣り餌として本種を用いる人もいるとか。

このように名前にカツオと付くにもかかわらずカツオの仲間でない魚もいるのです。いずれも食用として流通するので混同しないように注意しましょう。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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