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<アカハライモリ>の遺伝的集団構造が判明 交雑を経験することで多様化?

地球に生息する多種多様な生物はどのように多様化してきたのでしょうか。

最近の研究では、種間あるいは系統間の交雑、遺伝子浸透が重要であることが指摘されてきました。交雑や遺伝子浸透が対立遺伝子などに変化をもたらすというのです。

琉球大学大学院理工学研究科・博士後期課程の城間大輝大学院生らの研究グループは、日本固有種のアカハライモリを対象に、次世代シーケンサーを用いた遺伝解析により、詳細な遺伝的集団構造を明らかにしました。

この研究成果は「Journal of Heredity」に掲載されています(論文タイトル:Hybridization Drives High Genetic Diversity in the Japanese Fire-Bellied Newt, Cynops pyrrhogaster)。

日本固有の両生類<アカハライモリ>

日本に広く分布するアカハライモリは九州、四国、本州および周辺の島しょ域に生息する日本固有の両生類です。

本種は形態・行動学解析と遺伝学的解析により複数の地域グループの存在が知られています。一方、地域グループの地理的区分は、2つの手法で概ね一致するものの一部異なる部分もあったようです。

アカハライモリ(提供:PhotoAC)

さらに、地域グループの境界地域では、主に交雑個体が生息する交雑帯が知られるほか、交雑帯を介した地域グループ間の遺伝子浸透も確認されていました。

そのため、アカハライモリは生物の多様化ブロセスにおける交雑の影響を評価するのに適していると考えられています。

そうした中で、今回の研究では地域グループ間の集団構造と遺伝子浸透の実態を解明すべく、次世代シーケンサーを用いた遺伝解析が実施されました。

アカハライモリの進化史を追う

日本列島の28地点から得られたアカハライモリ124個体を対象に遺伝解析が行われた結果、本種は北日本グループ、中部日本グループ、西日本グループの大きく3グループに分けられることが明らかになっています。

さらに、各グループの中には先行研究で知られていた複数のサブグループの存在も見出されたほか、グループ間の境界地域では交雑集団も確認されました。

交雑によって生じた中部日本グループ

次に、研究グループはこれら3つのグループが分岐した順序を調べるため、ABC解析を行いました。

解析の結果、約820万年前頃にアカハライモリの共通祖先が北日本グループと西日本グループに分岐した後、約325万年前頃に両グループの分布が接触したことで交雑し、中部日本グループが生じたことが示されたといいます。

複雑な集団構造の形成

北日本グループへの過去の遺伝子浸透を調べるため4集団検出も実施されました。

その結果、西側のサブグループは西日本グループから、東側のサブグループは北日本グループからの遺伝子浸透の影響を受けていたことが判明しています。

さらに、紀伊半島のサブグループに関しては、ミトコンドリアDNAでは日本グループに含まれるのに対し、核DNAでは中部日本グループに含まれるという不一致も確認されたようです。

これらのことから、過去のグループ間の交雑と分布域の変化が、中部日本グループ内における複雑集団構造の形成に繋がったことが示唆されています。

種分化や多様性における交雑の役割

今回の研究によって、北日本グループと西日本グループに分岐した後、再び分布が接触したことで交雑が起き、中部日本グループが生じたことが示されました。

また、交雑後の遺伝子浸透も、アカハライモリの複雑な集団構造の形成や遺伝的多様性に寄与していると考えられています。

この成果は、種分化や多様化において、交雑がどのような役割を担っているのか、理解するうえで重要な知見になるとされています。

(サカナト編集部)

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