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AI手法により判明!<1億年前のタコ>は最大19メートルにもなる頂点捕食者?

北海道大学大学院理学研究院の伊庭靖弘准教授らの研究グループは、大規模3Dデータを可視化可能にするAI手法により、約1億~7200万年前のタコ類の顎化石を解析し、その体サイズと生態を詳細に復元しました。

この研究の成果は「Science」に掲載されています(論文タイトル:Earliest octopuses were giant top predators in Cretaceous oceans)。

古代の海の捕食者

約4億年前の海では、サメや魚竜などの巨大な体と高い身体能力を持った脊椎動物が頂点捕食者として君臨していたと考えられていました。

これに対し、無脊椎動物は自らを守る殻を進化させた小型の被食者と考えられていたようです。

殻を失ったタコ

一方、タコなどの頭足類では、殻を失うことで運動機能を向上させ、現在は中位捕食者として繁栄しています。

中生代に多様化したタコ類とその祖先は、全長2メートルを超える大型種も知られているほか、上位の捕食者であった可能性があるとか。しかし、それらを示す証拠は発見されておらず、生態系での役割は謎に包まれていました。

そこで、研究グループは、タコが捕食者であった証拠として、顎表面の摩耗痕に着目。大規模3Dデータを可視化可能にするAIモデルを開発し、約1億年~7200万年前のタコ類の顎化石を解析しました。

新たな手法で化石を解析

AI手法では、これまで知られていなかった幼体を含む12点のタコの顎化石が発見されています。

これに先行研究で北海道、バンクーバーから報告された顎化石15点を加え、約1億~7200万年前(白亜紀後期)の大型タコ類の分類、サイズ、生態の検討が行われました。

地球史上最大の無脊椎動物?

分類の結果、これまでタコ以外とされてきた5種をヒゲダコ亜目の2種に統合。新たな標本には、これまでより約500万年古い、タコ類最古の記録も含まれていました。

白亜紀の巨大なタコの復元画(提供:モルゲンロット)

体サイズの復元では、近縁な現生種12種の計測に基づき、顎サイズから体サイズを逆算する方式を採用。より古い種で最大全長約3~8メートル、より新しい種で約7~19メートルに達していたことが示唆されました。

(提供:モルゲンロット)

この大きさは、現生するダイオウイカを超える地球史上最大の無脊椎動物であり、最大17メートルになるモササウルスを上回るサイズです。また、新たに発見された幼体から、成長速度が新しい種で向上していることも判明しています。

強靭な顎でアンモナイトを捕食

さらに、顎化石の表面には大きな欠けや傷などの摩耗痕があることが明らかになっています。

(提供:モルゲンロット)

とくに噛む部分の周辺には、強い負荷によって形成された多数のヒビが確認されました。これは白亜紀のタコが強い噛む力を持ち、アンモナイトや魚などを積極的に捕食していた可能性を示すものだといいます。

また、摩耗の程度が左右で異なり、彼らにも利き手のような固定があったことも明らかになりました。

(提供:モルゲンロット)

これらは強靭な顎の獲得と硬い殻の喪失、柔軟な体が海洋における頂点捕食者への進化の鍵であることを示唆しています。

無脊椎動物の進化過程の解明を加速

今回の研究では、AI手法を用いた解析により、タコの顎化石から体サイズと生態を詳しく復元することに成功しました。

この手法は、これまで謎に包まれてきた過去の無脊椎動物の食性推定や進化過程の解明を加速させることが期待されています。

(サカナト編集部)

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